人民網日本語版には、ときどき良質な記事が掲載される。今回の記事もそれに該当する。今回は、9月25日の記事だが、日本外交の基軸である日米関係について、論評している。
菅外交第1の可能性は、対米外交の自主性と独立性を大幅に広げ、高めること。これは、戦後日本が、独立を回復して以来の基調となる方針だ。ただし、覇権国米国以外に、自由主義国家の中で、対米自主独立を真の意味で達成している国はない。イギリス、独仏伊、カナダ、豪州その他、いずれも米国の影響力を免れている国はない。
そういう意味では、戦後日本外交が目指してきた対米自主外交というのは、相対的なものであり、西側自由陣営に属していることが国益とニアリーイコールなので、「程度」問題にすぎないという認識が必要だ。実は、米国についても同様な認識であろう。たとえ、西側自由主義陣営の盟主、覇権国米国と言えども、自国の意のままに同盟国を動かせるわけではないことを思い起こす必要がある。影響を与えれば影響を受けるのだ。
第1の可能性で、重要なのは、安全保障環境に関する言及だ。
従来ほど米国の束縛を受けないようにすること、米国製武器の購入を減らすことが目的だ。
と人民網は述べている。「束縛を受けないこと」がより重要だ。購入を減らすことが目的ではない。最新鋭且つ日本では開発できない兵器を購入することは、我が国の抑止力を向上させるとともに対米貿易黒字を減らす効果がある。人民網の言うとおりだ。だが、それが目的ではない。
我が国が、最新鋭戦闘機の開発(仮称F3)を決定したのは朗報だ。かつて、F2開発時、自前の技術が不十分なため、自主開発をあきらめ、F16をベースに日米共同開発になった。それがF2だ。我が国の防衛業界は、そのときの悔しさを忘れていない。だが、米国の圧倒的な技術力を前に、共同開発せざるを得なかったのは、現実的な対応だったといえる。
まず、エンジン開発の技術力に劣っていた。次に、戦闘機の操縦から搭載武器をコントロールするアビオニクス(ソフトウェアのソースコード)を米国は日本に開示できないとした。当時、日本にはそれを開発する技術力は無かった。それほど、日米の技術格差は顕著だったということだ。共同開発はやむを得なかったというべきであろう
だが、現在は異なる。F22に匹敵するジェットエンジンの開発は完了している。神心こと先進技術実証機で、ステルス技術を習得した。F2以来の念願を果たすため、防衛省技術研究本部を中心に、地道に先端技術を開発・蓄積してきたのだ。
困難は予想されるが、もはや戦闘機を自主開発する機は熟したのだ。戦闘機を自主開発できれば、我が国の安全保障環境は劇的に向上するだろう。兵器を国産化するのは、どんな国にとっても極めて重要な政策なのだ。国家主権の裏付けとは、畢竟、軍事力・経済力に他ならないのだ。
第2、第3の可能性については稿を改めたい。
「菅外交」が本格始動 日米同盟の在り方に変化はあるか?
人民網日本語版 2020年09月25日13:00
菅内閣の対米外交政策にはだいたい3つの可能性があり、この3つが交互に進む可能性もある。1つ目は、日本の対米外交の自主性と独立性を大幅に広げ、高めるという可能性だ。
これは今年末か来年初めに打ち出す新たな国家安保戦略で具体化される。弾道ミサイル攻撃・防御技術、先進的戦闘機・軍艦を独自開発し、さらには宇宙・電子・サイバー技術の開発に力を入れる。これらはいずれも、従来ほど米国の束縛を受けないようにすること、米国製武器の購入を減らすことが目的だ。
2つ目は、日米同盟の枠組みの維持を前提に、日本は米国の影響力の助けを借りてインド太平洋地域でさらに多くの利益を獲得する一方、米国は日本という同盟ツールを利用することで、インド太平洋地域で中露を封じ込め、牽制するという目的を達成するという可能性だ。
3つ目は、日本は米国の強固な同盟国としての役割を続け、引き続き米国に忠実に追随し、米国の指揮下で米国のグローバル戦略の遂行を手伝うという可能性だ。
(引用終わり)
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菅外交第1の可能性は、対米外交の自主性と独立性を大幅に広げ、高めること。これは、戦後日本が、独立を回復して以来の基調となる方針だ。ただし、覇権国米国以外に、自由主義国家の中で、対米自主独立を真の意味で達成している国はない。イギリス、独仏伊、カナダ、豪州その他、いずれも米国の影響力を免れている国はない。
そういう意味では、戦後日本外交が目指してきた対米自主外交というのは、相対的なものであり、西側自由陣営に属していることが国益とニアリーイコールなので、「程度」問題にすぎないという認識が必要だ。実は、米国についても同様な認識であろう。たとえ、西側自由主義陣営の盟主、覇権国米国と言えども、自国の意のままに同盟国を動かせるわけではないことを思い起こす必要がある。影響を与えれば影響を受けるのだ。
第1の可能性で、重要なのは、安全保障環境に関する言及だ。
従来ほど米国の束縛を受けないようにすること、米国製武器の購入を減らすことが目的だ。
と人民網は述べている。「束縛を受けないこと」がより重要だ。購入を減らすことが目的ではない。最新鋭且つ日本では開発できない兵器を購入することは、我が国の抑止力を向上させるとともに対米貿易黒字を減らす効果がある。人民網の言うとおりだ。だが、それが目的ではない。
我が国が、最新鋭戦闘機の開発(仮称F3)を決定したのは朗報だ。かつて、F2開発時、自前の技術が不十分なため、自主開発をあきらめ、F16をベースに日米共同開発になった。それがF2だ。我が国の防衛業界は、そのときの悔しさを忘れていない。だが、米国の圧倒的な技術力を前に、共同開発せざるを得なかったのは、現実的な対応だったといえる。
まず、エンジン開発の技術力に劣っていた。次に、戦闘機の操縦から搭載武器をコントロールするアビオニクス(ソフトウェアのソースコード)を米国は日本に開示できないとした。当時、日本にはそれを開発する技術力は無かった。それほど、日米の技術格差は顕著だったということだ。共同開発はやむを得なかったというべきであろう
だが、現在は異なる。F22に匹敵するジェットエンジンの開発は完了している。神心こと先進技術実証機で、ステルス技術を習得した。F2以来の念願を果たすため、防衛省技術研究本部を中心に、地道に先端技術を開発・蓄積してきたのだ。
困難は予想されるが、もはや戦闘機を自主開発する機は熟したのだ。戦闘機を自主開発できれば、我が国の安全保障環境は劇的に向上するだろう。兵器を国産化するのは、どんな国にとっても極めて重要な政策なのだ。国家主権の裏付けとは、畢竟、軍事力・経済力に他ならないのだ。
第2、第3の可能性については稿を改めたい。
「菅外交」が本格始動 日米同盟の在り方に変化はあるか?
人民網日本語版 2020年09月25日13:00
菅内閣の対米外交政策にはだいたい3つの可能性があり、この3つが交互に進む可能性もある。1つ目は、日本の対米外交の自主性と独立性を大幅に広げ、高めるという可能性だ。
これは今年末か来年初めに打ち出す新たな国家安保戦略で具体化される。弾道ミサイル攻撃・防御技術、先進的戦闘機・軍艦を独自開発し、さらには宇宙・電子・サイバー技術の開発に力を入れる。これらはいずれも、従来ほど米国の束縛を受けないようにすること、米国製武器の購入を減らすことが目的だ。
2つ目は、日米同盟の枠組みの維持を前提に、日本は米国の影響力の助けを借りてインド太平洋地域でさらに多くの利益を獲得する一方、米国は日本という同盟ツールを利用することで、インド太平洋地域で中露を封じ込め、牽制するという目的を達成するという可能性だ。
3つ目は、日本は米国の強固な同盟国としての役割を続け、引き続き米国に忠実に追随し、米国の指揮下で米国のグローバル戦略の遂行を手伝うという可能性だ。
(引用終わり)
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