2022/12/21 05:00 産経抄
またまた自衛隊の出番である。記録的な大雪に見舞われた新潟県の道路では、車の立ち往生が相次いだ。県の災害要請を受けて、自衛隊は除雪作業に当たった。
▼「自衛隊撤収早すぎる 抗議相次ぐ」。昨年1月、新潟県の地元紙にこんな見出しの記事が掲載された。上越市内の福祉施設11カ所で3日間の雪下ろしを終えて撤収した自衛隊に対して、市民から「継続できないのか」などの抗議が相次いだという。「国民の命に関わる緊急事態」が終われば「一日一刻も早く、本来の任務に戻るべきである」。防衛問題研究家の桜林美佐さんが「夕刊フジ」への寄稿で指摘したのは、まさに正論である。
▼鳥インフルエンザが発生しても、自衛隊員が駆り出される。青森県三沢市の養鶏場では、過去最多となる137万羽の殺処分に来年1月まで県職員とともに携わることになった。異臭が漂う中、長時間にわたって動物を殺すのは過酷な仕事である。心のケアが必要な場合もある。新型コロナウイルスワクチンの大規模接種も、丸投げされたままだ。
▼自衛隊の災害派遣は国民の支持を得ており、現役が異を唱えるわけにはいかない。ただ、自衛隊が便利屋で本当にいいのか。月刊「文芸春秋」9月号で、自衛隊元幹部たちがノンフィクション作家の堀川恵子さんの取材に本音を語っていた。
▼自衛隊は今、宇宙やサイバーなど任務が多様化するなか、組織として相当無理を重ねている。災害派遣などで、演習や訓練時間が削られれば、国防に直結する「練度」が下がることになる。現場指揮官の危機感が高まっているという。
▼防衛費の増額は大いに結構なことだ。ただその前に自衛隊の本来の使命はいかにあるべきか、論議を深めるべきではないか。
産経抄全文を引用させていただきました。ここには、自衛隊を巡る様々な問題点が指摘されています。目を引いたのは「自衛隊の撤収は早すぎる」という言葉です。この言葉は、災害派遣において、自衛隊の行動を大きく左右します。
陸上自衛隊HPから引用
どのような形であれ、災害派遣を行っている現場から自衛隊が撤収することは、現地で被災された方々にとっては、非常に心細い気持ちにさせるものです。この撤収時期を誤ったために、自衛隊が批判・非難されたことは多々あります。なので、幹部教育では、災害派遣の撤収時期について、こと細かに教えられるのです。
東日本大震災での撤収は、自衛隊始まって以来の大きな判断事項でした。典型的な例を紹介しましょう。
陸上自衛隊HPから引用
ある地域を担当した連隊長です。担当する区域の自治体首長(複数の場合がほとんど)の協力を得て、現地の視察を受けます。それを何度も繰り返します。首長が納得するまで。
同じことをもう少しレベルを下げて、中隊長も行います。相手は区長だったり、町内会長だったりします。何度も行います。小隊長も同じ。担当区域は小さいですが、やることは同じです。こうして、小隊~中隊(大隊)~連隊~師団クラスで何度も自治体首長に現場を案内し、やるべきことをやった証を見ていただくのです。
最終判断をする前に、現場にいる連隊長は師団長に、師団長は方面総監に、そして統合部隊指揮官である東北方面総監の許可を得て、初めて撤収が承認されます。
これを撤収が想定される期間数か月にわたって繰り返し行いました。こういう手順を愚直に行うことによって、東日本大震災における撤収作戦は、誰からも非難されることなく実行されたのです。自衛隊の撤収は早すぎるという住民の声はありませんでした。
産経抄が言っているように、自衛隊の主たる任務は我が国の防衛です。このために存在しているのが自衛隊です。そして実力向上のための訓練時間が多様な任務によって制約を受けているのも事実です。
陸上自衛隊HPから引用
今回は、酒楽のコメントはありません。自衛隊の現場がどういうものか、その一端をご紹介させていただくことで十分満足です。皆様のご理解を賜りたいと存じます。
またまた自衛隊の出番である。記録的な大雪に見舞われた新潟県の道路では、車の立ち往生が相次いだ。県の災害要請を受けて、自衛隊は除雪作業に当たった。
▼「自衛隊撤収早すぎる 抗議相次ぐ」。昨年1月、新潟県の地元紙にこんな見出しの記事が掲載された。上越市内の福祉施設11カ所で3日間の雪下ろしを終えて撤収した自衛隊に対して、市民から「継続できないのか」などの抗議が相次いだという。「国民の命に関わる緊急事態」が終われば「一日一刻も早く、本来の任務に戻るべきである」。防衛問題研究家の桜林美佐さんが「夕刊フジ」への寄稿で指摘したのは、まさに正論である。
▼鳥インフルエンザが発生しても、自衛隊員が駆り出される。青森県三沢市の養鶏場では、過去最多となる137万羽の殺処分に来年1月まで県職員とともに携わることになった。異臭が漂う中、長時間にわたって動物を殺すのは過酷な仕事である。心のケアが必要な場合もある。新型コロナウイルスワクチンの大規模接種も、丸投げされたままだ。
▼自衛隊の災害派遣は国民の支持を得ており、現役が異を唱えるわけにはいかない。ただ、自衛隊が便利屋で本当にいいのか。月刊「文芸春秋」9月号で、自衛隊元幹部たちがノンフィクション作家の堀川恵子さんの取材に本音を語っていた。
▼自衛隊は今、宇宙やサイバーなど任務が多様化するなか、組織として相当無理を重ねている。災害派遣などで、演習や訓練時間が削られれば、国防に直結する「練度」が下がることになる。現場指揮官の危機感が高まっているという。
▼防衛費の増額は大いに結構なことだ。ただその前に自衛隊の本来の使命はいかにあるべきか、論議を深めるべきではないか。
産経抄全文を引用させていただきました。ここには、自衛隊を巡る様々な問題点が指摘されています。目を引いたのは「自衛隊の撤収は早すぎる」という言葉です。この言葉は、災害派遣において、自衛隊の行動を大きく左右します。

どのような形であれ、災害派遣を行っている現場から自衛隊が撤収することは、現地で被災された方々にとっては、非常に心細い気持ちにさせるものです。この撤収時期を誤ったために、自衛隊が批判・非難されたことは多々あります。なので、幹部教育では、災害派遣の撤収時期について、こと細かに教えられるのです。
東日本大震災での撤収は、自衛隊始まって以来の大きな判断事項でした。典型的な例を紹介しましょう。

ある地域を担当した連隊長です。担当する区域の自治体首長(複数の場合がほとんど)の協力を得て、現地の視察を受けます。それを何度も繰り返します。首長が納得するまで。
同じことをもう少しレベルを下げて、中隊長も行います。相手は区長だったり、町内会長だったりします。何度も行います。小隊長も同じ。担当区域は小さいですが、やることは同じです。こうして、小隊~中隊(大隊)~連隊~師団クラスで何度も自治体首長に現場を案内し、やるべきことをやった証を見ていただくのです。
最終判断をする前に、現場にいる連隊長は師団長に、師団長は方面総監に、そして統合部隊指揮官である東北方面総監の許可を得て、初めて撤収が承認されます。
これを撤収が想定される期間数か月にわたって繰り返し行いました。こういう手順を愚直に行うことによって、東日本大震災における撤収作戦は、誰からも非難されることなく実行されたのです。自衛隊の撤収は早すぎるという住民の声はありませんでした。
産経抄が言っているように、自衛隊の主たる任務は我が国の防衛です。このために存在しているのが自衛隊です。そして実力向上のための訓練時間が多様な任務によって制約を受けているのも事実です。

今回は、酒楽のコメントはありません。自衛隊の現場がどういうものか、その一端をご紹介させていただくことで十分満足です。皆様のご理解を賜りたいと存じます。
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