朝晴れエッセー わかぞう 10月22日 産経新聞
「お前のような若造に何がわかる!」
もうすぐ70歳になる夫が「わかぞう」と言われた。言ったのは80代半ばの男性だ。
産経新聞、10月22日付、朝晴れエッセーの冒頭部分です。いやー、いいですねー。こういう言葉、久しく聞いたことがありません。
お前のような若造に何がわかる!これと同じようなことを酒楽も言われたことがあります。それはですね、酒楽が初級幹部だった頃のことです。
最初の部隊に配置されたのは、幹部候補生学校を卒業した直後、北海道の部隊でした。酒楽は23歳。10月から次の年の1月初めまでの3か月間は、隊付きといって部隊に配置にはなりますが、特に仕事はありません。見習士官です。
そして、年明けから9月末までは、幹部初級課程に入校し、職種の小隊長として必要な知識、技能を習得します。それが終了して、10月に部隊に復帰し、ようやく小隊長となります。齢24歳。酒楽も小隊長に任命されました。編制定員は約30名。実際の充足は20名ほど。それでも北海道の部隊は充足が高い方でした。本州以南の部隊では、充足率はもっと低かったでしょう。
小隊長の下には班があります。3コ班。班長ですね。そして、小隊陸曹が小隊長を補佐します。酒楽の最初の小隊陸曹は、酒楽の父親とほぼ同年齢でした。小隊陸曹から見れば、酒楽など鼻たれ小僧です。小隊陸曹は、1等陸曹。ベテランです。
小隊陸曹から見れば、酒楽は「わかぞう」です。文字通り。朝晴れエッセーでは86歳から見た70歳。まあ、わかぞうですかね。ただし、間もなく70歳ですから、世間的には決して若造ではなく、立派な年配者です。その年配者に向かって「お前のようなわかぞう」といった86歳の男性の気持ちもわかりますがww
しかし、酒楽の小隊長時代は、文字通り若造が幹部であり、小隊を指揮するのです。これはですね、なかなか厳しい現実です。小隊陸曹以下は、陸曹・陸士ですので、階級的には酒楽よりも下ですが、陸曹さんは、部隊経験豊富でとても酒楽が小隊長として指揮できるものではありません。実際問題として。しかし、これを指揮するのが自衛隊なのですね。そして、こういうやり方は、世界共通です。

どの国の小隊長も最初は四苦八苦するのです。若造として。これを乗り越えなければ中隊長や連隊長などできないのです。若造ですが、辿ってきた道は、幹部を養成する道です。現場ではなかなか役に立たないのですが(;^_^A
酒楽から見ると連隊長や師団長などははるか上の人だし、年齢も一回り以上上なのです。ですから、年齢的にも実力的にも連隊長、師団長として相応しいわけです。しかし、親と同じ年齢の小隊陸曹を筆頭に、経験豊富な部下隊員を率いて、小隊を指揮する小隊長は、自衛隊で最も困難な職務だ、と酒楽は思います。
同じ時期に同じ師団に配属された同期と話す話題は、これです。どうやったら部下隊員を指揮・指導できるのか。それまでさんざん教育を受けてきましたが、受けた教育と実践は全く違うのです。相手は生身の人間ですから。
この小隊長時代、若造酒楽は何度も涙を流しました。心の中で。しかし、これは避けては通れないのです。今では懐かしい思い出ですが、当時は、毎日が悩みの連続なのでした。
でもあれですね。70歳を目前にして、「お前のようなわかぞうに何がわかる!」と言われるのも、やるせないですね。もう十分に人生経験を積んで、ひとかどの人格者になっていてもおかしくない年齢ですから。いくつになっても、厳しい局面があるのだなと思った次第です。
酒楽もまだまだ若造です。
ずいぶん前のことですが、「プラトーン」という映画がありました。文字通り「小隊」です。ウェストポイント(陸軍士官学校)を出たての小隊長が、小隊長として成長する物語です。これを見たのは既に小隊長を卒業した後でしたが、思わず涙が出そうになりましたね。自分の経験を思い出して。すみません、昔話ばかりで。
「お前のような若造に何がわかる!」
もうすぐ70歳になる夫が「わかぞう」と言われた。言ったのは80代半ばの男性だ。
産経新聞、10月22日付、朝晴れエッセーの冒頭部分です。いやー、いいですねー。こういう言葉、久しく聞いたことがありません。
お前のような若造に何がわかる!これと同じようなことを酒楽も言われたことがあります。それはですね、酒楽が初級幹部だった頃のことです。
最初の部隊に配置されたのは、幹部候補生学校を卒業した直後、北海道の部隊でした。酒楽は23歳。10月から次の年の1月初めまでの3か月間は、隊付きといって部隊に配置にはなりますが、特に仕事はありません。見習士官です。
そして、年明けから9月末までは、幹部初級課程に入校し、職種の小隊長として必要な知識、技能を習得します。それが終了して、10月に部隊に復帰し、ようやく小隊長となります。齢24歳。酒楽も小隊長に任命されました。編制定員は約30名。実際の充足は20名ほど。それでも北海道の部隊は充足が高い方でした。本州以南の部隊では、充足率はもっと低かったでしょう。
小隊長の下には班があります。3コ班。班長ですね。そして、小隊陸曹が小隊長を補佐します。酒楽の最初の小隊陸曹は、酒楽の父親とほぼ同年齢でした。小隊陸曹から見れば、酒楽など鼻たれ小僧です。小隊陸曹は、1等陸曹。ベテランです。
小隊陸曹から見れば、酒楽は「わかぞう」です。文字通り。朝晴れエッセーでは86歳から見た70歳。まあ、わかぞうですかね。ただし、間もなく70歳ですから、世間的には決して若造ではなく、立派な年配者です。その年配者に向かって「お前のようなわかぞう」といった86歳の男性の気持ちもわかりますがww
しかし、酒楽の小隊長時代は、文字通り若造が幹部であり、小隊を指揮するのです。これはですね、なかなか厳しい現実です。小隊陸曹以下は、陸曹・陸士ですので、階級的には酒楽よりも下ですが、陸曹さんは、部隊経験豊富でとても酒楽が小隊長として指揮できるものではありません。実際問題として。しかし、これを指揮するのが自衛隊なのですね。そして、こういうやり方は、世界共通です。

どの国の小隊長も最初は四苦八苦するのです。若造として。これを乗り越えなければ中隊長や連隊長などできないのです。若造ですが、辿ってきた道は、幹部を養成する道です。現場ではなかなか役に立たないのですが(;^_^A
酒楽から見ると連隊長や師団長などははるか上の人だし、年齢も一回り以上上なのです。ですから、年齢的にも実力的にも連隊長、師団長として相応しいわけです。しかし、親と同じ年齢の小隊陸曹を筆頭に、経験豊富な部下隊員を率いて、小隊を指揮する小隊長は、自衛隊で最も困難な職務だ、と酒楽は思います。
同じ時期に同じ師団に配属された同期と話す話題は、これです。どうやったら部下隊員を指揮・指導できるのか。それまでさんざん教育を受けてきましたが、受けた教育と実践は全く違うのです。相手は生身の人間ですから。
この小隊長時代、若造酒楽は何度も涙を流しました。心の中で。しかし、これは避けては通れないのです。今では懐かしい思い出ですが、当時は、毎日が悩みの連続なのでした。
でもあれですね。70歳を目前にして、「お前のようなわかぞうに何がわかる!」と言われるのも、やるせないですね。もう十分に人生経験を積んで、ひとかどの人格者になっていてもおかしくない年齢ですから。いくつになっても、厳しい局面があるのだなと思った次第です。
酒楽もまだまだ若造です。
ずいぶん前のことですが、「プラトーン」という映画がありました。文字通り「小隊」です。ウェストポイント(陸軍士官学校)を出たての小隊長が、小隊長として成長する物語です。これを見たのは既に小隊長を卒業した後でしたが、思わず涙が出そうになりましたね。自分の経験を思い出して。すみません、昔話ばかりで。
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