内閣官房参与 宮家邦彦氏の論考である。主要部分のみ抜粋して引用した。
「第二次世界大戦以来の伝統的保守主義」とは、拙稿「米国伝統保守発狂」(8月24日アップ)の記事で書いた、米国伝統保守と同義であろう。拙稿では、米国伝統保守を代表するマイケル・ヘイデン、ジョン・ネグロポンテ、ウィリアム・ウェブスター、リチャードアーミテージといった面々が、前回も今回も、民主党候補を応援していることについて、紹介した。米国伝統保守を象徴するこれらの人たちは、あろうことか、前回はヒラリーを、今回は、バイデンを支持している。
「第二次世界大戦以来の伝統的保守主義」を標榜するこれらの面々が、民主党を支持していることについて、宮家氏は、いかなるコメントするのか非常に興味がある。小生は、彼らは「保守ではない」と断じている。宮家氏の言を借りれば、米国の伝統的保守主義は既に死んでいる。
認識が誤っているのだ。彼らは、そもそも保守ではない。リベラルでもない。敢えて言うなら、軍産複合体の利益を代表する者だ。彼らは、国益には無関心だ。だから、共和党重鎮でありながら、平気で民主党候補を応援できるのだ。
「第二次世界大戦以来の伝統的保守主義」は仮面を剥がされ、トランプによって再生されたというのが、小生の認識である。
あろうことか、宮家氏は、トランプが大統領府を去っても米国のダークサイドは生き残るだろうと言っている。この時点で、宮家氏が、発狂した米国伝統保守と同じ立ち位置にいることがわかる。そう、巧妙な言い回しだが、氏も発狂しつつあるのだろう。
日本の保守にかこつけて、トランプを「民族主義的、大衆迎合的、差別主義的、排外主義」と決めつけている。知らないのか?ニューヨークタイムズ、ワシントン・ポスト、CNNが言っていることと同じだということを。恥を知れ。
元駐日米大使が、民主、共和いずれとも明らかにせず、正しい判断を下すことを期待している、と紹介している。正しい判断と言う言葉には注意が必要だ。左翼の常套句だからだ。彼らは、自分だけが、自分たちだけが「正しい」信じ込んでいる。宮家氏の物言いは、他人の言葉を借りているが、彼らと同じだ。
トランプは孤立主義ではない。積極的に国際政治に関与しているではないか。ニクソン以来の対中融和策こそ、弾劾されてしかるべきだ。
トランプは、対中融和策を是正し、中国を潰そうとしている。そして、これに日本や英国、インド、豪州、ヨーロッパを巻き込もうとしている。立派な関与政策、同盟政策ではないか。トランプの登場によって、似非保守主義、対中融和勢力は淘汰されたというのが小生の認識だ。
宮家氏は、今回の米大統領選の予想について、自分の考えを言わない。どうやって、総理に意見するのだ?
悪貨が良貨を駆逐したのではない、良貨が悪貨を駆逐し、かつ駆逐しつつあるのだ。現状認識を誤ると、将来の見通しも誤る。それは歴史が証明している。内閣参与が盲目なら、その意見は無視するしかない。それが小生の意見だ。
令和2年10月29日 産経新聞 宮家邦彦のWorld Watch から主要部分抜粋引用
今筆者が抱くのは、冷戦時代に国際関与と同盟関係を重視したあの共和党が「壊れ始めた」という強い危機感だ。(中略)第二次世界大戦以来の伝統的保守主義が少しでも甦るためには、投票結果が「圧倒的地滑り的勝利」となる必要がある。
(中略)仮にトランプ氏が大統領府を去っても、米国の「ダークサイド」は生き残るだろうからだ。
(中略)この点、日本の保守はまだ健全だと思う。トランプ運動のような「民族主義的、大衆迎合的、差別主義的、排外主義」保守主義が主流となる可能性は低いからだ。
(中略)16世紀の英国王財政顧問トマス・グレシャムは「悪貨が良貨を駆逐する」と考えた。今米国では「悪貨が良貨を駆逐しつつある」のか。だが、米政治の劣化を止められるのは米国の有権者だけである。
元駐日米大使の一人が「11月3日に米国民が正しい判断を下すことを望んでいる」と書いてきた。その通り、新大統領が誰であれ、米国が国際的関与主義に復帰するか、それとも孤立主義を続けていくかは日本だけでなく、米国の全ての同盟国にとって重大関心事項だ。僅差か、圧倒的地滑りか、その結果を我々は冷静に分析する必要がある。
(引用終わり)
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