来年度防衛予算について、産経新聞のコラム「風を読む」で、論説副委員長・榊原智氏が記事を執筆している。
https://www.sankei.com/column/news/201222/clm2012220006-n1.html
産経新聞論説副委員長・榊原智氏は、気鋭の論説委員だ。今回の記事も防衛費の本質を突いていて、なかなか読みごたえがあった。
だが、記事の表題はいただけない。
「防衛費で韓国に抜かれる日」、これが表題だ。たしかに、このままの状態では、防衛費が韓国に抜かれる日が来るかもしれない。かの国が、米韓同盟を破棄したり、離脱したりする可能性があるからだ。
だからと言って、韓国に抜かれる可能性を云々するのか?そもそも主敵を間違っている。主敵は、あくまで中国だからだ。中国を念頭に防衛費の是非を問うべきだろう。
小生なら、この記事の通り、「このままでは国を守れない日が来る」とでもするだろう。
そもそも防衛費を過去最大と呼称するメディアが情けない。過去最大に何の意味があるのだ?財務省の陰謀か?
防衛費の是非は、国家の安全を保障するために必要な経費を確保できたか否かで評価すべきだろう。メディアにその論点がないから問題なのだ。
韓国に防衛費が抜かれるのも問題だとは思うが、とらえ方を間違っている。現時点では、米韓同盟は辛うじて機能している。しかし、産経が危惧しているように、韓国は我が国を敵視していて、特にムン君率いる現政権は、北朝鮮よりも、我が国をして仮想敵国としていると疑えるような言動が頻発している。

以前の記事で、韓国は東アジアの従属変数だと発言したが、基本的にその考えは変えていない。問題は、韓国が米韓同盟を離脱あるいは破棄して、中共側に寝返った(先祖返り?)たとして、どういった形で、日米対中共の覇権争いに参加してくるのか、その態様如何に左右されよう。
a 同盟を破棄して、中共と同盟する。
b 同盟を離脱して、中立を宣言する。
c 同盟を離脱して、日本を敵国に認定する。
考えられる韓国の行動はこのくらいか。
a案は、可能性としては低いと予想される。韓国の特性として、両陣営から敵視されず、漁夫の利を得たいというのが歴史的な韓国の向背だ。a案は、国を危うくすると考えられるだろう。
b案の可能性は高い。今回も、安全保障の米国、経済の中国、そのどちらも失いたくないため、中立を保つことが予想される。
c案の可能性が最も高いだろう。c案は、b案に含めてもいいかもしれない。表面上中立を保ちつつ、日本の隙を狙って攻撃を仕掛けてくる。あるいは、日米対中国の争いに発展した場合、陰に陽に日本の作戦を妨害してくる可能性がある。こういうことだろう。

これら韓国の予想される行動を従属変数として、対中国戦略を確立しなければならない。
当然、同盟国米国と共同で戦うことが前提だ。戦いの目的は?
戦いの目的は、冷戦時に同じだ。ソ連は、開戦前に経済的に崩壊した。過大な軍事負担を経済が支えきれなかったのが理由だ。
対中国戦略も同じでいい。日米豪印を核として軍事的に封鎖し、これに英仏を巻き込む。さらに、EUを巻き込んで対中経済封鎖を行う。これが理想だ。冷戦で、ソ連に勝利した方程式を応用すればいいだけだ。
中国が暴走する前に経済的に破綻させることが成功のカギだ。そのためには、中国に危険な賭けを起こさせないように、軍事力を強化する必要がある。
ここまでが、我が国の大戦略だ。この考えを前提に、外交と防衛を組み立てる。
期限を区切ることも重要だ。いつまでも防衛費を増大させ続けることはできない。米国と緊密に戦略を練り上げる必要がある。
中国の経済成長率は低落傾向にある。それに、中国の経済に関する数字は信用できない。日米のシンクタンクが、共同で見積もることが重要だ。その結果をもとに、10年~20年前後の装備開発・調達を計画することが肝要だ。
当然、我が国の防衛費は大幅に増額する必要がある。少なくとも2倍くらいは必要だろう。自衛官の充足率を向上させる必要もある。人事兵站の経費は倍増させる必要がある。

まあ、そういうことだ。これらの見積もりを前提として、いつまでに、何を達成すべきかを計画する。これが、長期見積もり、中期計画でなければならない。
防衛省の防衛計画がどこまで踏み込んで計画されているのか、小生は知らないが、この種の計画は当然存在するはずだ。防衛白書には、その一端が抜粋して公表されている。
さて、最初の論点に戻る。防衛費の評価は、この種計画に対して、どこまで達成できたのか、数量的に、そして時間的に評価することが重要なのだ。
メディアの防衛費に関する評価には、この種の視点が決定的に欠けている。政府が積極的に広報していないのも問題だ。
過去最大ではなく、我が国の置かれている安全保障環境の問題はかくかくしかじか、そのため、これくらいの防衛費が必要であり、今回の予算では、目標に対して、〇〇くらいの達成度であり、順当に計画は達成しつつある、あるいは、これこれの問題により、未達である。来年度以降、この問題については、このように計画を修正し、次次年度予算に反映する。
従って、予想される将来において、我が国の安全は保障されている。これが模範解答だ。
https://www.sankei.com/column/news/201222/clm2012220006-n1.html
産経新聞論説副委員長・榊原智氏は、気鋭の論説委員だ。今回の記事も防衛費の本質を突いていて、なかなか読みごたえがあった。
だが、記事の表題はいただけない。
「防衛費で韓国に抜かれる日」、これが表題だ。たしかに、このままの状態では、防衛費が韓国に抜かれる日が来るかもしれない。かの国が、米韓同盟を破棄したり、離脱したりする可能性があるからだ。
だからと言って、韓国に抜かれる可能性を云々するのか?そもそも主敵を間違っている。主敵は、あくまで中国だからだ。中国を念頭に防衛費の是非を問うべきだろう。
小生なら、この記事の通り、「このままでは国を守れない日が来る」とでもするだろう。
そもそも防衛費を過去最大と呼称するメディアが情けない。過去最大に何の意味があるのだ?財務省の陰謀か?
防衛費の是非は、国家の安全を保障するために必要な経費を確保できたか否かで評価すべきだろう。メディアにその論点がないから問題なのだ。
韓国に防衛費が抜かれるのも問題だとは思うが、とらえ方を間違っている。現時点では、米韓同盟は辛うじて機能している。しかし、産経が危惧しているように、韓国は我が国を敵視していて、特にムン君率いる現政権は、北朝鮮よりも、我が国をして仮想敵国としていると疑えるような言動が頻発している。

以前の記事で、韓国は東アジアの従属変数だと発言したが、基本的にその考えは変えていない。問題は、韓国が米韓同盟を離脱あるいは破棄して、中共側に寝返った(先祖返り?)たとして、どういった形で、日米対中共の覇権争いに参加してくるのか、その態様如何に左右されよう。
a 同盟を破棄して、中共と同盟する。
b 同盟を離脱して、中立を宣言する。
c 同盟を離脱して、日本を敵国に認定する。
考えられる韓国の行動はこのくらいか。
a案は、可能性としては低いと予想される。韓国の特性として、両陣営から敵視されず、漁夫の利を得たいというのが歴史的な韓国の向背だ。a案は、国を危うくすると考えられるだろう。
b案の可能性は高い。今回も、安全保障の米国、経済の中国、そのどちらも失いたくないため、中立を保つことが予想される。
c案の可能性が最も高いだろう。c案は、b案に含めてもいいかもしれない。表面上中立を保ちつつ、日本の隙を狙って攻撃を仕掛けてくる。あるいは、日米対中国の争いに発展した場合、陰に陽に日本の作戦を妨害してくる可能性がある。こういうことだろう。

これら韓国の予想される行動を従属変数として、対中国戦略を確立しなければならない。
当然、同盟国米国と共同で戦うことが前提だ。戦いの目的は?
戦いの目的は、冷戦時に同じだ。ソ連は、開戦前に経済的に崩壊した。過大な軍事負担を経済が支えきれなかったのが理由だ。
対中国戦略も同じでいい。日米豪印を核として軍事的に封鎖し、これに英仏を巻き込む。さらに、EUを巻き込んで対中経済封鎖を行う。これが理想だ。冷戦で、ソ連に勝利した方程式を応用すればいいだけだ。
中国が暴走する前に経済的に破綻させることが成功のカギだ。そのためには、中国に危険な賭けを起こさせないように、軍事力を強化する必要がある。
ここまでが、我が国の大戦略だ。この考えを前提に、外交と防衛を組み立てる。
期限を区切ることも重要だ。いつまでも防衛費を増大させ続けることはできない。米国と緊密に戦略を練り上げる必要がある。
中国の経済成長率は低落傾向にある。それに、中国の経済に関する数字は信用できない。日米のシンクタンクが、共同で見積もることが重要だ。その結果をもとに、10年~20年前後の装備開発・調達を計画することが肝要だ。
当然、我が国の防衛費は大幅に増額する必要がある。少なくとも2倍くらいは必要だろう。自衛官の充足率を向上させる必要もある。人事兵站の経費は倍増させる必要がある。

まあ、そういうことだ。これらの見積もりを前提として、いつまでに、何を達成すべきかを計画する。これが、長期見積もり、中期計画でなければならない。
防衛省の防衛計画がどこまで踏み込んで計画されているのか、小生は知らないが、この種の計画は当然存在するはずだ。防衛白書には、その一端が抜粋して公表されている。
さて、最初の論点に戻る。防衛費の評価は、この種計画に対して、どこまで達成できたのか、数量的に、そして時間的に評価することが重要なのだ。
メディアの防衛費に関する評価には、この種の視点が決定的に欠けている。政府が積極的に広報していないのも問題だ。
過去最大ではなく、我が国の置かれている安全保障環境の問題はかくかくしかじか、そのため、これくらいの防衛費が必要であり、今回の予算では、目標に対して、〇〇くらいの達成度であり、順当に計画は達成しつつある、あるいは、これこれの問題により、未達である。来年度以降、この問題については、このように計画を修正し、次次年度予算に反映する。
従って、予想される将来において、我が国の安全は保障されている。これが模範解答だ。
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