加藤官房長官、敵基地攻撃能力「引き続き検討」 日米首脳会談受け説明
2021.4.19 産経新聞
https://www.sankei.com/politics/news/210419/plt2104190012-n1.html
久しぶりにコメントに値する官房長官の記者会見だ。ともするとかつてのソビエト連邦のようなというか、木で鼻を括ったようなと言おうか、全く面白くない加藤官房長官の記者会見だが、今回は、慎重な言い回しながらも米国と中国に日本政府の考えを伝えたようだ。
有料記事ではないので、引用しつつコメントしてみたい。
加藤勝信官房長官は19日の記者会見で、日米両首脳が16日の会談後に発表した共同声明で日本の防衛力強化が盛り込まれたことについて「日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えだ。抑止力の強化については引き続き政府内において検討を継続している」と述べ、敵基地攻撃能力の保有に関する検討を続ける考えを示した。
共同声明で、日本は防衛力を強化する、としたので、こういう言い回しは当然だ。ここでいう抑止力とは、敵基地攻撃能力のことを意味していると思われる。そして対処力とは、中国の行動に対して直接防衛行動を行う場合の戦力という意味だ。
これで、来年度の防衛予算がどのように変化するのか、が問われることになる。現状、防衛努力しているとは言い難い予算環境だ。果たして政府は、防衛予算をどれくらい上積みするのだろうか?
過去の政府の答弁を振り返れば、毎年の増加分に少しだけ増加?くらいが関の山か。ドラスティックな増額は期待できない。つまり、政府には相変わらず危機感が無いと言うべきだろう。
諸悪の根源は財務省だ。プライマリーバランス至上主義の財務省は、予算の増加を嫌う。そして、二言目には、スクラップアンドビルドという決まり文句。高橋洋一参与という知恵袋を招聘しておきながら、その意見を採用しようとは思わない政府自民党では、これから先まともな人物が参集してこなくなるだろう。そちらの方が心配だ。
加藤氏はまた、共同声明で台湾海峡の平和と安定の重要性が明記された点に関し「(台湾海峡の)軍事バランスが確実に変化してきている。当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待しており、最近の動向を含め関心を持って注視している」と述べた。
軍事バランスが変化してきている、という認識はいいだろう。その通りだからだ。問題は、当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待している、という部分だ。そもそも軍事バランスが変化しているというのは、中国の軍事的脅威が増大してるのが原因なのであり、台湾を自国の領土だと認識している中共に対して、今更当事者間の直接の対話で平和的に解決することは不可能だ。だから日米共同声明で、台湾に言及したのではなかったか。
この期に及んで平和的に解決などできないのが自明であるにもかかわらず、このような物言いになるのか?外交的言い回しとしては正解なのかもしれないが、米国も台湾も、そして我が国の有権者も理解不能ではないか?
中国政府が共同声明に反発していることには「中国との間にさまざまな懸案は存在しているが、わが国として引き続き首脳会談や外相会談などハイレベルの機会を活用し、中国との率直な対話を通じて直接懸念の伝達を行いつつ、懸案を一つ一つ解決し、中国側の具体的な行動を強く求めていくという基本姿勢には何ら変わることはない」と語った。
これこそ外交辞令だが、これはこれでいい。この文言は、少なくとも我が国は、尖閣についても、台湾有事についても譲歩することはないと言っているのと同じだからだ。
日米首脳会談自体に関しては「菅首相とバイデン大統領との間に政治家として、一国のリーダーとして通じ合うものがあったのではないかと感じた」と述べた。
行動が求められるのだ。特に米国に対しては。防衛努力をすると約束したのだから、防衛努力をしないと、約束違反になる。そして日米同盟の信頼性が揺らぐことになる。米国の考える努力と我が国政府の考える努力がイコールであることを期待するのみだ。
<PS>
外交辞令は、その裏に「実際に行動するぞ」という確信が、言う方にも受ける方にも同じように認識されることによって、効果を発揮する。日本政府内閣官房長官の発言が、実質を伴っているのかを、アメリカも中国もじっと見ているだろう。そこに嘘が含まれていれば、中国はすぐに行動してくるだろうし、アメリカは日本政府に疑念を抱き、同盟破綻の危険があるのだ。
だから外交辞令は慎重な言い回しが求められ、どこから攻められても如何様にでも対応可能なように表現し、かつ、対象国に対し、明らかに意図が通じなければならない。一般人には理解できない世界だが、外交とはそういうものだ。
だが、日本国の外交を素人の目で見ていると、実質を伴っていないのではないか?と疑われることが多いと思う。だから、中国は尖閣に艦船を侵入させても悠々としているのだ。つまり今現在も日本政府の言葉は、中国には信用されていないということだ。
外交的にも軍事的に危機的状況だと思うのだが如何だろうか。
2021.4.19 産経新聞
https://www.sankei.com/politics/news/210419/plt2104190012-n1.html
久しぶりにコメントに値する官房長官の記者会見だ。ともするとかつてのソビエト連邦のようなというか、木で鼻を括ったようなと言おうか、全く面白くない加藤官房長官の記者会見だが、今回は、慎重な言い回しながらも米国と中国に日本政府の考えを伝えたようだ。
有料記事ではないので、引用しつつコメントしてみたい。
加藤勝信官房長官は19日の記者会見で、日米両首脳が16日の会談後に発表した共同声明で日本の防衛力強化が盛り込まれたことについて「日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えだ。抑止力の強化については引き続き政府内において検討を継続している」と述べ、敵基地攻撃能力の保有に関する検討を続ける考えを示した。
共同声明で、日本は防衛力を強化する、としたので、こういう言い回しは当然だ。ここでいう抑止力とは、敵基地攻撃能力のことを意味していると思われる。そして対処力とは、中国の行動に対して直接防衛行動を行う場合の戦力という意味だ。
これで、来年度の防衛予算がどのように変化するのか、が問われることになる。現状、防衛努力しているとは言い難い予算環境だ。果たして政府は、防衛予算をどれくらい上積みするのだろうか?
過去の政府の答弁を振り返れば、毎年の増加分に少しだけ増加?くらいが関の山か。ドラスティックな増額は期待できない。つまり、政府には相変わらず危機感が無いと言うべきだろう。
諸悪の根源は財務省だ。プライマリーバランス至上主義の財務省は、予算の増加を嫌う。そして、二言目には、スクラップアンドビルドという決まり文句。高橋洋一参与という知恵袋を招聘しておきながら、その意見を採用しようとは思わない政府自民党では、これから先まともな人物が参集してこなくなるだろう。そちらの方が心配だ。
加藤氏はまた、共同声明で台湾海峡の平和と安定の重要性が明記された点に関し「(台湾海峡の)軍事バランスが確実に変化してきている。当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待しており、最近の動向を含め関心を持って注視している」と述べた。
軍事バランスが変化してきている、という認識はいいだろう。その通りだからだ。問題は、当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待している、という部分だ。そもそも軍事バランスが変化しているというのは、中国の軍事的脅威が増大してるのが原因なのであり、台湾を自国の領土だと認識している中共に対して、今更当事者間の直接の対話で平和的に解決することは不可能だ。だから日米共同声明で、台湾に言及したのではなかったか。
この期に及んで平和的に解決などできないのが自明であるにもかかわらず、このような物言いになるのか?外交的言い回しとしては正解なのかもしれないが、米国も台湾も、そして我が国の有権者も理解不能ではないか?
中国政府が共同声明に反発していることには「中国との間にさまざまな懸案は存在しているが、わが国として引き続き首脳会談や外相会談などハイレベルの機会を活用し、中国との率直な対話を通じて直接懸念の伝達を行いつつ、懸案を一つ一つ解決し、中国側の具体的な行動を強く求めていくという基本姿勢には何ら変わることはない」と語った。
これこそ外交辞令だが、これはこれでいい。この文言は、少なくとも我が国は、尖閣についても、台湾有事についても譲歩することはないと言っているのと同じだからだ。
日米首脳会談自体に関しては「菅首相とバイデン大統領との間に政治家として、一国のリーダーとして通じ合うものがあったのではないかと感じた」と述べた。
行動が求められるのだ。特に米国に対しては。防衛努力をすると約束したのだから、防衛努力をしないと、約束違反になる。そして日米同盟の信頼性が揺らぐことになる。米国の考える努力と我が国政府の考える努力がイコールであることを期待するのみだ。
<PS>
外交辞令は、その裏に「実際に行動するぞ」という確信が、言う方にも受ける方にも同じように認識されることによって、効果を発揮する。日本政府内閣官房長官の発言が、実質を伴っているのかを、アメリカも中国もじっと見ているだろう。そこに嘘が含まれていれば、中国はすぐに行動してくるだろうし、アメリカは日本政府に疑念を抱き、同盟破綻の危険があるのだ。
だから外交辞令は慎重な言い回しが求められ、どこから攻められても如何様にでも対応可能なように表現し、かつ、対象国に対し、明らかに意図が通じなければならない。一般人には理解できない世界だが、外交とはそういうものだ。
だが、日本国の外交を素人の目で見ていると、実質を伴っていないのではないか?と疑われることが多いと思う。だから、中国は尖閣に艦船を侵入させても悠々としているのだ。つまり今現在も日本政府の言葉は、中国には信用されていないということだ。
外交的にも軍事的に危機的状況だと思うのだが如何だろうか。
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