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政権の正統性

 自民党の総裁選びは、菅官房長官の立候補表明で、様相が一変した。どうやら、二階派と麻生派が菅さんを支持しているらしい。

 さて、自民党内の各派閥の動きはどうでもよろしい。問題は、総裁選の具体的実施要領だ。巷間の噂では、党員投票は行わず、両院議員総会での投票ではないかと囁かれている。本来、一政党の党首選びなので、自民党員でもない小生の関知するところではないのだが、自民党総裁が事実上次の総理大臣になることは自明なので、我関せずとはいかない。

 誰が選ばれても安倍さんには及ぶまい。それは致し方ない。再度申し上げるが、選び方は、よく考えるべきだろう。民主政治の肝は、手続の公平性、公明性にある。歴代自民党総裁選の問題点は、密室で、党の各領袖が話し合い、談合で決めているのではないかと疑われる事例が多かったところにある。それが、政権の正統性を疑われる遠因となり、反対勢力から、格好の餌食となってきた。

 その問題点を解決したのが、現在の自民党総裁選出規程であろう。緊急事態だから、急を要するので、党員投票を省略し、両院議員総会での投票で選出する。規程上は、問題ない。だが、正統性には疑問が残る。何故なら、党員投票を実施すれば、結果が異なる可能性が必ず残るからだ。
投票

 そもそも、有権者の厳しい批判があって、現在の選出方法になったのであろう。よほどの緊急事態でもなければ、党員投票を行い、現職議員の投票を行い、手続上問題なく総裁を選ぶべきだろう。それが、歴代自民党総裁選の教訓ではなかったのか。それこそが国会において、首班指名を受ける最大の正統性なのだ。この手続きを怠ることは、次期政権の足元を弱めるだけだ。

 よほどの緊急性とは、切迫した戦争の危険とか、現に戦争状態にあるとか、そういった国家の緊急事態を想定すべきだ。現時点で、安倍総理総裁は、次期党首・首班が決定するまで、総理として執務すると明言しているのだ。数週間、安倍総理に執務をしていただくように、依頼するべきである。もし、それができないほど健康状態が悪化しているのであれば、副総理格の麻生財務大臣に総理の臨時代理をしていただくのが筋だ。

 繰り返すが、民主政治の根幹は、内閣総理大臣を選ぶまでの、公明かつ公正な選出手続きに全面的に依存しているのだ。疎かにしてはならない。それを疎かにして、自民党総裁を選出すれば、国家の危機を招くのだ。よく考えろ。

 自民党内には、ご意見番はいないのか。いないのであれば、せめて、安倍総理は、手続きを踏むように党内を説得すべきある。現職総理大臣・自民党総裁として、最後のご奉公は、それである。それができてこそ、日本国の歴史に名を遺す、大宰相となろう。


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