台湾で米軍と合同訓練、40年ぶりに実施を認める
2020年11月11日(水)17時10分 Newsweek
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/11/40-32.php
<台湾における米軍の存在が明らかにされたのは、1979年の国交断絶以来>
米海兵隊が台湾で公式に訓練活動を開始した。台湾海軍が11月9日に明らかにした。台湾軍の戦闘即応性強化を支援する目的の訓練だ。
台湾を訪れている米海兵隊特殊作戦コマンド(マリーン・レイダース)の一団が主導する水陸両用作戦の訓練について、台湾の海軍司令部は「定期的なもの」と表現した。台湾における米軍の活動が公式に明かされたのは、台湾とアメリカの外交関係が公式に断絶した1979年以来初めてのことだ。
40年以上にわたって、米台どちらの政府も台湾における米軍の存在を正式には認めてこなかったが、米台の軍事交流は新型コロナ流行以前から定期的におこなわれていたと「聯合報」は伝えている。
台湾が毎年実施している「漢光(Han Kuang)」演習には、アメリカ政府のオブザーバーが招かれている。また、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)も、台湾における同様の部隊である陸軍航空特戦指揮部との毎年恒例の合同訓練に招かれている。
「聯合報」によれば、米陸軍特殊部隊は、台湾中央部の山岳地域で実施されている「バランス・タンパー(Balance Tamper)」演習に参加しているという。
また、米海軍特殊部隊(ネイビーシールズ)も毎年「フラッシュ・タンパー(Flash Tamper)」演習に参加し、澎湖諸島沖で台湾の潜水工作兵を訓練している。
Newsweekの記事の主要部分を引用した。些か古い記事で恐縮だが、ネットを検索中に偶々ヒットしたこの記事は、なかなかに興味深い内容を含んでいた。
そもそも1979年に台湾とアメリカは断交し、正式な国交はない。だが、アメリカは台湾関係法を成立させ、台湾を中共に売り渡したわけではない。長年にわたり武器も売却してきた。
だが、米軍と台湾軍が定期的に合同訓練を行っていたことを、不肖酒楽は知らなかった。
記事にあるように、米海兵隊特殊作戦コマンド(マリーン・レイダース)、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)、米海軍特殊部隊(ネイビーシールズ)が、水陸両用作戦の訓練、陸軍航空特戦指揮部との毎年恒例の合同訓練、台湾中央部の山岳地域で実施されている「バランス・タンパー(Balance Tamper)」演習に参加しているという。
記事によれば、陸海軍特殊部隊相互の合同訓練が主に行われているようだ。訓練の内容から想定されるのは特殊作戦能力の向上だ。

ネイビーシールズ 画像はWikiから引用
一つは、大陸からの特殊部隊による浸透工作への対処であり、もう一つは、大陸への反攻を想定した米台特殊部隊による橋頭保奪取作戦などだろう。可能性としては、前者だろう。
中国人民解放軍が、台湾に侵攻する場合、事前の工作が予想される。それは、特殊作戦部隊を秘密裏に台湾に潜入させ、政経中枢を混乱に陥れることを狙った作戦だ。
そのための準備は既に着々と行われていようが、実行に移す前には、一段と勢力を増強する必要がある。それら特殊部隊が、大挙して台湾に浸透し、混乱を引き起こした場合、サイバー攻撃などと相まって、台湾の政治経済が大混乱に陥り、台湾軍の戦力発揮が妨げられる事態が予想される。
記事による米台合同訓練は、そういう事態を想定し、米台の特殊部隊が、解放軍の特殊部隊を撃滅するための訓練、というのが最も可能性の高い訓練目的だろう。
その訓練を断交以来営々と継続してきた事実には驚いた。流石に覇権国米国だ。国際政治は、きれいごとだけで済まされる世界ではない。こういった地道な行動が、米国と台湾の間にはあり、それが台湾の国家安全保障に絶大な貢献をしているということだ。
我が国にはそれは無理だ。憲法改正さえ政治的リスクが大きいのだ。台湾軍と自衛隊の合同訓練など、口にするだけで政治的に抹殺されるだろう。残念なことではあるが、ワクチンを支援することくらいが精一杯なのだ。
覇権国米国だからこそ、台湾軍との合同訓練ができる。自衛隊だったら、中共と中共のエージェントが大々的な反撃を行うだろう。実現はまず不可能だ。
一つ可能性があるとすれば、マラバール(日米印合同訓練)に豪州軍を招待したように、米台特殊部隊合同訓練に、陸自特殊作戦群を招待することだ。外交儀礼にうるさい我が国政府なら、招待を断るような無粋な行動などはできないだろう。ありがたく招待に応ずるに違いない。(もちろん酒楽の妄想ですが)
さて、この事実は当然中共も知っているだろう。従って、台湾侵攻作戦は、米台特殊部隊を撃破しなければ成功はおぼつかないと理解している。中共がそう理解していることを米台も理解している。実際の戦闘は、その先を想定して行われるのだ。こういった虚々実々の駆け引きが米台と中共の間で行われている。
我が国の外務省も防衛省中枢も当然承知しているだろう。台湾有事は近い。いつまでも他人事として放置するわけにはいかない。
2020年11月11日(水)17時10分 Newsweek
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/11/40-32.php
<台湾における米軍の存在が明らかにされたのは、1979年の国交断絶以来>
米海兵隊が台湾で公式に訓練活動を開始した。台湾海軍が11月9日に明らかにした。台湾軍の戦闘即応性強化を支援する目的の訓練だ。
台湾を訪れている米海兵隊特殊作戦コマンド(マリーン・レイダース)の一団が主導する水陸両用作戦の訓練について、台湾の海軍司令部は「定期的なもの」と表現した。台湾における米軍の活動が公式に明かされたのは、台湾とアメリカの外交関係が公式に断絶した1979年以来初めてのことだ。
40年以上にわたって、米台どちらの政府も台湾における米軍の存在を正式には認めてこなかったが、米台の軍事交流は新型コロナ流行以前から定期的におこなわれていたと「聯合報」は伝えている。
台湾が毎年実施している「漢光(Han Kuang)」演習には、アメリカ政府のオブザーバーが招かれている。また、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)も、台湾における同様の部隊である陸軍航空特戦指揮部との毎年恒例の合同訓練に招かれている。
「聯合報」によれば、米陸軍特殊部隊は、台湾中央部の山岳地域で実施されている「バランス・タンパー(Balance Tamper)」演習に参加しているという。
また、米海軍特殊部隊(ネイビーシールズ)も毎年「フラッシュ・タンパー(Flash Tamper)」演習に参加し、澎湖諸島沖で台湾の潜水工作兵を訓練している。
Newsweekの記事の主要部分を引用した。些か古い記事で恐縮だが、ネットを検索中に偶々ヒットしたこの記事は、なかなかに興味深い内容を含んでいた。
そもそも1979年に台湾とアメリカは断交し、正式な国交はない。だが、アメリカは台湾関係法を成立させ、台湾を中共に売り渡したわけではない。長年にわたり武器も売却してきた。
だが、米軍と台湾軍が定期的に合同訓練を行っていたことを、不肖酒楽は知らなかった。
記事にあるように、米海兵隊特殊作戦コマンド(マリーン・レイダース)、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)、米海軍特殊部隊(ネイビーシールズ)が、水陸両用作戦の訓練、陸軍航空特戦指揮部との毎年恒例の合同訓練、台湾中央部の山岳地域で実施されている「バランス・タンパー(Balance Tamper)」演習に参加しているという。
記事によれば、陸海軍特殊部隊相互の合同訓練が主に行われているようだ。訓練の内容から想定されるのは特殊作戦能力の向上だ。

ネイビーシールズ 画像はWikiから引用
一つは、大陸からの特殊部隊による浸透工作への対処であり、もう一つは、大陸への反攻を想定した米台特殊部隊による橋頭保奪取作戦などだろう。可能性としては、前者だろう。
中国人民解放軍が、台湾に侵攻する場合、事前の工作が予想される。それは、特殊作戦部隊を秘密裏に台湾に潜入させ、政経中枢を混乱に陥れることを狙った作戦だ。
そのための準備は既に着々と行われていようが、実行に移す前には、一段と勢力を増強する必要がある。それら特殊部隊が、大挙して台湾に浸透し、混乱を引き起こした場合、サイバー攻撃などと相まって、台湾の政治経済が大混乱に陥り、台湾軍の戦力発揮が妨げられる事態が予想される。
記事による米台合同訓練は、そういう事態を想定し、米台の特殊部隊が、解放軍の特殊部隊を撃滅するための訓練、というのが最も可能性の高い訓練目的だろう。
その訓練を断交以来営々と継続してきた事実には驚いた。流石に覇権国米国だ。国際政治は、きれいごとだけで済まされる世界ではない。こういった地道な行動が、米国と台湾の間にはあり、それが台湾の国家安全保障に絶大な貢献をしているということだ。
我が国にはそれは無理だ。憲法改正さえ政治的リスクが大きいのだ。台湾軍と自衛隊の合同訓練など、口にするだけで政治的に抹殺されるだろう。残念なことではあるが、ワクチンを支援することくらいが精一杯なのだ。
覇権国米国だからこそ、台湾軍との合同訓練ができる。自衛隊だったら、中共と中共のエージェントが大々的な反撃を行うだろう。実現はまず不可能だ。
一つ可能性があるとすれば、マラバール(日米印合同訓練)に豪州軍を招待したように、米台特殊部隊合同訓練に、陸自特殊作戦群を招待することだ。外交儀礼にうるさい我が国政府なら、招待を断るような無粋な行動などはできないだろう。ありがたく招待に応ずるに違いない。(もちろん酒楽の妄想ですが)
さて、この事実は当然中共も知っているだろう。従って、台湾侵攻作戦は、米台特殊部隊を撃破しなければ成功はおぼつかないと理解している。中共がそう理解していることを米台も理解している。実際の戦闘は、その先を想定して行われるのだ。こういった虚々実々の駆け引きが米台と中共の間で行われている。
我が国の外務省も防衛省中枢も当然承知しているだろう。台湾有事は近い。いつまでも他人事として放置するわけにはいかない。
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