<独自>尖閣占拠想定し図上演習 自衛隊、海保、警察 役割分担を確認
2021/6/6 22:00 産経ニュース
https://www.sankei.com/article/20210606-Y2YMGCBTZZI3XISRG2RLTZEDNI/
中国による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の占拠を想定し、自衛隊、海上保安庁、警察、外務省の担当者が参加する図上演習を複数回実施していることが6日、分かった。今年2月に中国海警局の船が尖閣諸島に接近・上陸を試みた場合に海保による危害射撃が可能との見解をまとめたことを踏まえた図上演習も実施。米軍が参加して日米共同で事態対処シミュレーションを行っていることも判明した。複数の政府関係者が明らかにした。
図上演習は、平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」から本格的な武力紛争に至るまで、自衛隊、海保、警察がスムーズに役割分担を行うことを確認するのが狙い。都内の自衛隊施設で行っているという。
記事の冒頭部分を引用した。
近年の中国海警局、海空軍の動きを見れば、このような図上演習を行うのは当然のことだ。記事の後半では、この種演習は、第2次安倍政権発足後から行われてきたようだ。
自衛隊、海上保安庁、警察及び外務省は、ことが起こった場合の当事者になるので、4者が合同で訓練を行うことは、極めて重要である。我が国は法治国家であり、自衛隊と言えども法律を根拠として行動する。それは、他の3者についても同じだ。
様々状況を想定して訓練を行い、それぞれの部門が法律上問題ないか検証している筈だ。かつて、自衛隊の有事法制が問題になったことがあったが、実力組織である自衛隊が、その力を発揮するためには、そういった目に見えない問題を一つ一つ潰す根気のいる作業が必要だ。
訓練を行えば、それまで想定していなかった問題が浮き彫りになることもある。場合によっては、政令、訓令あるいは法律を改正する必要さえある。
更に、各組織が連携するにあたって、状況判断の考え方が共有されることが最も重要なことだ。一つの事象に対してどう判断するのかを日頃から想定しておくことは、迅速な対応を求められる有事においては、国家の死命を制する可能性があるからだ。
第2次安倍政権発足以来なら、関係省庁の「練度」はかなり向上しているだろう。だが、この記事で触れられてはいないが、重要なプレイヤーが参加していない。
それは、各大臣だ。防衛大臣、警察庁長官、海上保安庁長官、国土交通大臣、外務大臣及び総理大臣だ。

画像はWikiから引用
大臣を訓練に参加させるなど失礼ではないか?という意見もあろう。だが、それは間違っている。外国との有事とは、政治判断の連続なのだ。
現場の問題を国家に昇格させて判断するのが政治家の役割だ。総理大臣の判断とは、国家の存在を左右する判断なのだ。
現地の衝突をエスカレートしないようにブレーキをかけるのか、領土を守るため、軍事力の使用を認めるのか、想定外のエスカレーションが起きた場合、日本国はどうすべきなのか?外務、防衛、警察、関係する責任者がそれぞれ意見を述べるだろうが、最後の判断は、総理大臣が行うのだ。総理大臣がその責務を逃れることはできない。
そのときになって、「君たち勝てるのか?」と聞くようでは国家の防衛は覚束ない。
自衛隊や海保、警察、外務官僚は日頃からそういう事態を想定して訓練を積み重ねているから、大きな判断ミスをすることはないだろう。問題が、総理大臣を含む各大臣閣下だ。
ふだんそのような訓練に参加したことも無ければ、そのような判断を求められたことも無いだろう。それが一番危険なのだ。それまで考えたこともないような事態が訪れるのだ。判断の誤りは、国家の命運を左右するのだ。時間も情報も限られている中で判断を求められるのが、自衛隊の高級指揮官であり、政治家なのだ。
以前触れたが、米国はこういう事態を想定して、大統領以下主要スタッフは、定期的にこの種訓練に参加している。彼らの状況判断は、米国どころか、場合によっては世界と人類の将来まで左右するかもしれない。だからいざというときに間違った判断をしないように、定期的に訓練を行っているのだ。
我が国の大臣閣下が訓練に参加する姿を想像するのは難しい。だが、それは我が国の危機管理が危機的状況だということに他ならない。おそらく各大臣は、何を判断していいのかそれすらわからないと思う。大臣は自ら積極的に訓練に参加すべきだ。
今は亡きトム・クランシーの軍事スリラー小説(レッドオクトーバーを追え、クレムリンの枢機卿など)では、主人公ジャック・ライアンが大統領になり、こういった演習に参加するくだりがある。クランシーは、綿密な取材に定評があり、この種演習が実際に行われていることだろう。
麻生幾氏の小説では、我が国政府の迷走が現場を大混乱に陥れている。それほど政治判断は難しく、国家の行方を左右するのだ。
何も戦闘服を着て参加しろと言っているわけではない。シチュエーションを整え、各大臣に考えてもらうことが重要なのだ。繰り返し参加することにより、国政にいい影響が必ず現れることだろう。演習の目的なそういうところにもある。
それは、国の外交安全保障政策を格段に向上させることになるのだ。関係大臣は、積極的に訓練に参加し、政策に反映してもらいたいものだ。
2021/6/6 22:00 産経ニュース
https://www.sankei.com/article/20210606-Y2YMGCBTZZI3XISRG2RLTZEDNI/
中国による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の占拠を想定し、自衛隊、海上保安庁、警察、外務省の担当者が参加する図上演習を複数回実施していることが6日、分かった。今年2月に中国海警局の船が尖閣諸島に接近・上陸を試みた場合に海保による危害射撃が可能との見解をまとめたことを踏まえた図上演習も実施。米軍が参加して日米共同で事態対処シミュレーションを行っていることも判明した。複数の政府関係者が明らかにした。
図上演習は、平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」から本格的な武力紛争に至るまで、自衛隊、海保、警察がスムーズに役割分担を行うことを確認するのが狙い。都内の自衛隊施設で行っているという。
記事の冒頭部分を引用した。
近年の中国海警局、海空軍の動きを見れば、このような図上演習を行うのは当然のことだ。記事の後半では、この種演習は、第2次安倍政権発足後から行われてきたようだ。
自衛隊、海上保安庁、警察及び外務省は、ことが起こった場合の当事者になるので、4者が合同で訓練を行うことは、極めて重要である。我が国は法治国家であり、自衛隊と言えども法律を根拠として行動する。それは、他の3者についても同じだ。
様々状況を想定して訓練を行い、それぞれの部門が法律上問題ないか検証している筈だ。かつて、自衛隊の有事法制が問題になったことがあったが、実力組織である自衛隊が、その力を発揮するためには、そういった目に見えない問題を一つ一つ潰す根気のいる作業が必要だ。
訓練を行えば、それまで想定していなかった問題が浮き彫りになることもある。場合によっては、政令、訓令あるいは法律を改正する必要さえある。
更に、各組織が連携するにあたって、状況判断の考え方が共有されることが最も重要なことだ。一つの事象に対してどう判断するのかを日頃から想定しておくことは、迅速な対応を求められる有事においては、国家の死命を制する可能性があるからだ。
第2次安倍政権発足以来なら、関係省庁の「練度」はかなり向上しているだろう。だが、この記事で触れられてはいないが、重要なプレイヤーが参加していない。
それは、各大臣だ。防衛大臣、警察庁長官、海上保安庁長官、国土交通大臣、外務大臣及び総理大臣だ。

画像はWikiから引用
大臣を訓練に参加させるなど失礼ではないか?という意見もあろう。だが、それは間違っている。外国との有事とは、政治判断の連続なのだ。
現場の問題を国家に昇格させて判断するのが政治家の役割だ。総理大臣の判断とは、国家の存在を左右する判断なのだ。
現地の衝突をエスカレートしないようにブレーキをかけるのか、領土を守るため、軍事力の使用を認めるのか、想定外のエスカレーションが起きた場合、日本国はどうすべきなのか?外務、防衛、警察、関係する責任者がそれぞれ意見を述べるだろうが、最後の判断は、総理大臣が行うのだ。総理大臣がその責務を逃れることはできない。
そのときになって、「君たち勝てるのか?」と聞くようでは国家の防衛は覚束ない。
自衛隊や海保、警察、外務官僚は日頃からそういう事態を想定して訓練を積み重ねているから、大きな判断ミスをすることはないだろう。問題が、総理大臣を含む各大臣閣下だ。
ふだんそのような訓練に参加したことも無ければ、そのような判断を求められたことも無いだろう。それが一番危険なのだ。それまで考えたこともないような事態が訪れるのだ。判断の誤りは、国家の命運を左右するのだ。時間も情報も限られている中で判断を求められるのが、自衛隊の高級指揮官であり、政治家なのだ。
以前触れたが、米国はこういう事態を想定して、大統領以下主要スタッフは、定期的にこの種訓練に参加している。彼らの状況判断は、米国どころか、場合によっては世界と人類の将来まで左右するかもしれない。だからいざというときに間違った判断をしないように、定期的に訓練を行っているのだ。
我が国の大臣閣下が訓練に参加する姿を想像するのは難しい。だが、それは我が国の危機管理が危機的状況だということに他ならない。おそらく各大臣は、何を判断していいのかそれすらわからないと思う。大臣は自ら積極的に訓練に参加すべきだ。
今は亡きトム・クランシーの軍事スリラー小説(レッドオクトーバーを追え、クレムリンの枢機卿など)では、主人公ジャック・ライアンが大統領になり、こういった演習に参加するくだりがある。クランシーは、綿密な取材に定評があり、この種演習が実際に行われていることだろう。
麻生幾氏の小説では、我が国政府の迷走が現場を大混乱に陥れている。それほど政治判断は難しく、国家の行方を左右するのだ。
何も戦闘服を着て参加しろと言っているわけではない。シチュエーションを整え、各大臣に考えてもらうことが重要なのだ。繰り返し参加することにより、国政にいい影響が必ず現れることだろう。演習の目的なそういうところにもある。
それは、国の外交安全保障政策を格段に向上させることになるのだ。関係大臣は、積極的に訓練に参加し、政策に反映してもらいたいものだ。
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