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正義は眉に唾して聞くべし

怒号は放置ですか? 「表現の不自由展」めぐる警察の矛盾
自由への妨害を許さないのが《公》の役割のはず
志田陽子 武蔵野美術大学 造形学部教授(憲法、芸術関連法)
2021年07月16日 朝日新聞デジタル
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2021071200003.html?page=1

 筆者も、朝日新聞の以下の記事にコメントを提供した。「表現の自由」には批判の自由が含まれるにしても、このような妨害行為は「批判」とは異なる暴力であって、「表現の自由」によって擁護しようのないものだ、というのが筆者の見解である

 「表現の自由」で擁護しようのない妨害行為によって、本来予定されている行事が継続不能に追い込まれているというとき、この妨害を止めて本来の行事の進行を守るのが《公》の仕事である。今回クローズアップされた「公の施設」も、警察も、それぞれの立場でその職責を担っている。

 この妨害行為については、酒楽も朝日新聞デジタルに同意する。どのような下劣な展示であろうと、県や市が認めた展示を怒号などの実力をもってする行為は、妨害そのものであり、言論の自由を定めた憲法に違反する許されざる行為だ。

 言論の自由は、他人を誹謗中傷するものでない限り認められるべきだ。酒楽は、愛知トリエンナーレで展示された、表現の不自由展を見たわけではないので、内容についてコメントはできない。

 だが、巷間言われているような、皇室の名誉を棄損するような内容を含んでいるならば、その内容について、法の示すところに従い、提訴するなりすればいい。それが法治国家に住む日本人の行いであるべきだ。

 重要なことなので、重ねて言いたい。言論の自由を暴力などの実力で妨害することは許されない。同じことを自分がしようとするときに、主張の異なる集団から同じように実力で妨害されたらどう思うかを考えればすぐに理解できるはずだ。

 内容が、他人を誹謗中する内容ならば、訴えればいいのだ。訴える自由は、憲法と法律によって護られている。言論の自由は、守られなければならないと酒楽は考える。怒号をもって阻止しようとする勢力があるならば、酒楽はその勢力を支持しない。

 内容が下劣で、顰蹙を買うようなものなら、見せればいいではないか。我々日本人は、そのような下劣な表現を支持するわけがない。そのような展示は、多くの人に見せるべきなのだ。それをどのように判断するかは、人それぞれのはずだ。それが言論の自由の本質だからだ。

 酒楽は、日本人を信用している。もしそのような下劣な展示内容ならば、それを主催した団体や、展示を認めた市や町の首長または担当部局は、有権者から厳しい批判を浴びるだろう。批判するのは言論の自由の一つだ。だが、あくまでも言論でなければならない。それを実力をもって阻止しようとするなら、その者は、既に主催者団体を批判する資格はない。

 下劣なものと同じ土俵に立つなら、その者も下劣にならざるを得ないのだ。それが世の理(ことわり)だ。

 公の権力を有する警察も同じである。警察が従うのは、憲法であり、法律であるべきだ。怒号による妨害行為があったならば、法に基づき、適切な処置をするべきだ。そうでなければ法治国家とは言えない。

 誤解のないように付け加えさせていただくならば、展示の内容については、全く知らないので、コメントする立場にはない。どのような内容なのか知りようもないので、主催者も批判勢力も県・市も警察も、すべて法の示すところに基づき行動すればいいのだ。法に基づかない行為は、どのようなものであれ、厳しく取り締まるべきだ。それ以外に言いようがないではないか。

 批判勢力が自身を正義だと思っているなら、なおさら危険だ。世の中に正義という言葉ほど信用できない言葉はない。今は亡き、コラムニスト山本夏彦翁は、常日頃、「正義という言葉を聞くたびに、眉に唾して聞いている」と喝破されていた。

 酒楽もそのように思う。正義ほど危険な言葉はない。何故なら、正義を主張すれば、主張勢力以外はすべて悪になるからだ。世の中には、いろいろな考え方があるのだ。正義を標榜して、他人の言を攻撃するものは、全体主義者と同じだ。つまり、中国共産党と同じなのだ。

 正義を叫んで、全体主義者に陥ることなかれ。言論には言論をもって対抗すればいいのだ。相手の言い分を鼻から認めず、自分だけが正しく、正しくない勢力に対しては、暴力の行使も厭わない、これを全体主義と言わず何と言うのだ。

 不自由展を批判するなら、言葉によって批判すべし。主催者や県・市に落ち度があるならば、法に基づき訴えればいいのだ。実力行使は、言論の自殺と同じだ。
 
 
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