どうなる日米同盟 産経新聞 8月31日
トランプ政権が中国との全面対決路線を歴代米政権にない規模と水準で打ち出している以上、その裏付けとなる地域の同盟関係を自ら弱体化させていくとは基本的には考えにくい。
ただ、トランプ氏の同盟観には、「米国が相手国を一方的に守っている」との発想が色濃いのは事実だ。
駐ドイツ大使として独駐留米軍の削減を主導したグレネル前国家情報長官代行は、26日、共和党全国大会で演説し、国際問題への過度な関与で、「ワシントンが世界の首都になった」ことが米国の疲弊を招いたとし、2期目のトランプ政権が「米国第一」の外交政策を進めると強調した。
グレネル氏は、同盟諸国には「責任の共有」を求めていくとしており、トランプ政権が日本に対し、在日米軍駐留経費の大幅な増額を引き続き求めてくるのは避けられない見通しだ。
(ワシントン 黒瀬 悦成 以下略)
産経新聞ワシントン支局 黒瀬悦成記者による署名記事である。
黒瀬記者によると、米国から日本に対し、在日米軍駐留経費の増額要求が避けられないと主張している。立ち位置がはっきりしないが、素直に解釈すれば、米国の駐留経費増額要求は理不尽であり、日本政府は苦慮するだろう、と言いたいのであろう。こういった主張は、産経新聞に限らず、数多のメディアが、過去から連綿として継続している。
小生は、これらの主張には与しない。まず、白紙的に考えて、我が国を取り巻く安全保障環境を考えた場合、日米同盟とそれを裏付ける在日米軍の存在は、我が国独立の根幹の一翼を担っているのは、事実だ。日米同盟と在日米軍なくして、中国の脅威と圧力から我が国を単独で守ることは、不可能ではないとしても、極めて困難である。この情勢認識をまず、冷厳な事実として認識する必要がある。
在日米軍など必要ないと考える諸氏が相手なら、これ以上論考する必要はないが、そういう人士以外なら、日米同盟の必要性を感じないということはなかろう。そう、間違いなく必要だ。その裏付けたる在日米軍も我が国を守るうえで、必要不可欠だ。
さて、では、在日米軍駐留経費とは、何なのだ。我が国の安全保障に必要ならば、どこまで必要なのか考える必要がある。そこを考えないから、被害妄想となるのだ。論考を理解しやすくするために、極端な意見を言わせてもらえば、駐留経費を全額日本国が負担すればよろしい。
そうなった場合、日米が在日米軍をどうとらえるかが、論考の肝だ。仮に、日本国が全額駐留経費を負担した場合、日本国政府は、在日米軍の運用に関して、米国政府と同等の発言権を有することとなろう。在日米軍軍人の給与を別とすれば、補給、整備、訓練その他在日米軍が活動する経費をすべて負担すればいいのだ。その瞬間、在日米軍は、日本国の傭兵とならざるを得ないだろう。
事実、在日米軍関係者らは、同じような意見を述べている。全額負担されたら、我々は日本の傭兵になってしまう、と心配しているのだ。だから、彼らは、全額負担を決して望んではいない。
全額負担すると日本国政府が、米国政府に通告した場合、今度は、米国政府はどのような判断をするのであろうか。全額負担と同時に在日米軍の運用に関して50%の権限を有するよと言うことになるのだが。これに米国政府は耐えられるのか?
例えば、在日米軍が、中東正面に派遣される場合、それは、我が国の安全保障にいかなる寄与をするのか?米国政府と十分な協議が必要だろう。それが、単なる米国のグローバルな活動の一環だとするならば、つまり、我が国の安全保障に全く寄与しないならば、日本国はこれに反対すべきだし、反対しなければならない。何故なら、駐留経費を全額負担しているのであるから、我が国の国益に寄与しない在日米軍の活動には、「ノー」と言わざるを得ないではないか。
(2)に続く
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トランプ政権が中国との全面対決路線を歴代米政権にない規模と水準で打ち出している以上、その裏付けとなる地域の同盟関係を自ら弱体化させていくとは基本的には考えにくい。
ただ、トランプ氏の同盟観には、「米国が相手国を一方的に守っている」との発想が色濃いのは事実だ。
駐ドイツ大使として独駐留米軍の削減を主導したグレネル前国家情報長官代行は、26日、共和党全国大会で演説し、国際問題への過度な関与で、「ワシントンが世界の首都になった」ことが米国の疲弊を招いたとし、2期目のトランプ政権が「米国第一」の外交政策を進めると強調した。
グレネル氏は、同盟諸国には「責任の共有」を求めていくとしており、トランプ政権が日本に対し、在日米軍駐留経費の大幅な増額を引き続き求めてくるのは避けられない見通しだ。
(ワシントン 黒瀬 悦成 以下略)
産経新聞ワシントン支局 黒瀬悦成記者による署名記事である。
黒瀬記者によると、米国から日本に対し、在日米軍駐留経費の増額要求が避けられないと主張している。立ち位置がはっきりしないが、素直に解釈すれば、米国の駐留経費増額要求は理不尽であり、日本政府は苦慮するだろう、と言いたいのであろう。こういった主張は、産経新聞に限らず、数多のメディアが、過去から連綿として継続している。
小生は、これらの主張には与しない。まず、白紙的に考えて、我が国を取り巻く安全保障環境を考えた場合、日米同盟とそれを裏付ける在日米軍の存在は、我が国独立の根幹の一翼を担っているのは、事実だ。日米同盟と在日米軍なくして、中国の脅威と圧力から我が国を単独で守ることは、不可能ではないとしても、極めて困難である。この情勢認識をまず、冷厳な事実として認識する必要がある。
在日米軍など必要ないと考える諸氏が相手なら、これ以上論考する必要はないが、そういう人士以外なら、日米同盟の必要性を感じないということはなかろう。そう、間違いなく必要だ。その裏付けたる在日米軍も我が国を守るうえで、必要不可欠だ。
さて、では、在日米軍駐留経費とは、何なのだ。我が国の安全保障に必要ならば、どこまで必要なのか考える必要がある。そこを考えないから、被害妄想となるのだ。論考を理解しやすくするために、極端な意見を言わせてもらえば、駐留経費を全額日本国が負担すればよろしい。
そうなった場合、日米が在日米軍をどうとらえるかが、論考の肝だ。仮に、日本国が全額駐留経費を負担した場合、日本国政府は、在日米軍の運用に関して、米国政府と同等の発言権を有することとなろう。在日米軍軍人の給与を別とすれば、補給、整備、訓練その他在日米軍が活動する経費をすべて負担すればいいのだ。その瞬間、在日米軍は、日本国の傭兵とならざるを得ないだろう。
事実、在日米軍関係者らは、同じような意見を述べている。全額負担されたら、我々は日本の傭兵になってしまう、と心配しているのだ。だから、彼らは、全額負担を決して望んではいない。
全額負担すると日本国政府が、米国政府に通告した場合、今度は、米国政府はどのような判断をするのであろうか。全額負担と同時に在日米軍の運用に関して50%の権限を有するよと言うことになるのだが。これに米国政府は耐えられるのか?
例えば、在日米軍が、中東正面に派遣される場合、それは、我が国の安全保障にいかなる寄与をするのか?米国政府と十分な協議が必要だろう。それが、単なる米国のグローバルな活動の一環だとするならば、つまり、我が国の安全保障に全く寄与しないならば、日本国はこれに反対すべきだし、反対しなければならない。何故なら、駐留経費を全額負担しているのであるから、我が国の国益に寄与しない在日米軍の活動には、「ノー」と言わざるを得ないではないか。
(2)に続く
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