秋も深まり冬の足音が聞こえる季節になった。陸海空自衛隊にとって11月は1年で一番寒い月かもしれない。それは職種を問わず野外で行動することが自衛隊の基本であるからだ。
春に始まった年度の訓練は秋も深まるこの時期に集大成を迎える。長期間の野営や転地訓練、共同訓練や実動訓練などが冬を迎えるこの時期に行われることが多い。
特に東北以北の演習場で陸自部隊が迎える寒い朝は長く厳しい冬の到来を感じさせる。悪天候の続く冬の日本海で警戒監視任務に就く海自の艦上勤務も同様に厳しい寒さに晒される。初雪の舞う山頂の空自レーダサイトの深夜のシフト勤務も寒さの中で朝を迎える。
多くの国民は、そのことを知らない。知ってほしいと思う半面、知られないことも自衛隊の行動の基本であると言える。
この時期、市谷台の防衛省に連日のように泊まり込み、国会対応や予算折衝のための説明資料を作成する担当者も厳しい冬を迎えている。寒さのせいではない。予算編成を担う彼ら彼女らの脳裏には寒さの中、己の任務に向き合うかつての同僚や部下たちがいるからだ。
以下略。
朝雲新聞のコラム朝雲寸言から引用しました。
この文章を読んでグッとくる人達はそれほど多くはないでしょう。酒楽はグッときました。
11月は寒いのです。1月になると、冬の訓練になります。でも11月は、夏季訓練の最終版なのです。時に雪もちらつきますが、夏仕様で訓練に臨みます。これが寒いのなんのって、いい加減嫌になります。
1月から3月くらいまでが冬季訓練になります。冬装備で、スキーや雪上車、防寒着を着て訓練に臨むわけです。最初から厳寒の中での訓練を想定していて、心も体もその気なんです。だから寒いのは当たり前。
あれ、12月は?よく気が付きましたね。誰でも気が付くか。12月は、夏には寒すぎ、雪が少なすぎて冬でもない中途半端な時期なので、大体、装備品の整備や、冬季訓練の準備などに充てられるのです。
でも11月は、まだ冬の覚悟ができていないのですね。だから寒いんです。いっそ、真冬になれば、肝が据わって、何とかなるものなのです。朝雲寸言はよくわかっていますね♪
そして、この時期、年末の大蔵原案(古いですね。年がばれてしまいますww)、政府原案に向けて、予算折衝は最高潮に達しているのです。たった一台の装甲車、古い暗視装置の更新、寒冷地勤務手当の増額、その他諸々。
寸言に書いてあるように、かつての勤務地における経験や、同僚部下の気持ちを考えると、1円たりとも無駄にはできません。1円でも多く予算を確保し、我が国の安全保障環境の向上に寄与しようと努力するわけです。
1週間、2週間泊まり込むのは当たり前です。それどころか、一年中市谷に泊まり込んでいる猛者もいます。酒楽は、泊まるのが嫌いだったので、毎日帰っていましたが、睡眠時間は4~5時間でした。土日は、家族サービスもしますが、半分は寝ていました。
それでも頑張らざるを得ないのは、寒風吹きすさぶなか、歩哨に立っているかつての部下の顔が浮かぶからです。酒楽もかつて小隊を率いて冬季連隊支隊の一翼を担いました。
マイナス30度。隊員の寝ている天幕にはストーブがありましたが、小隊本部にはありませんでした。あるのは、携行を許されていない私物の反射式ストーブだけ。これは寒かったですね。でも、小隊長は、そんなことは言っていられないのです。
こういう経験が、予算折衝での根性につながっているのですね♪
政府は11月26日の臨時閣議で、令和3年度補正予算を決定しました。このうち防衛省は補正予算案としては過去最大の7738億円を計上。令和3年度補正予算と4年度当初予算を「防衛力強化加速パッケージ」と位置づけ、4年度当初予算の概算要求に計上していたミサイル防衛能力や南西地域の島嶼部の防衛体制の強化などの事業を3年度に前倒しする。
と12月2日付朝雲新聞に掲載されていました。どうやら岸田総理も少しは防衛力整備に本気のようですね。歓迎したいと思います。何度も申し上げますが、防衛力とは、国が国民に提供する最大のサービスなのです。
分配するなら、お金ではなく、安心安全な国づくりとそれを裏付ける防衛力であるべきだと酒楽は思います。
ご清聴ありがとうございました。
厳寒の北海道で気を付けなければならないのは、凍傷です。出動する前には、細かくチェックします。下着から、靴下、手袋、その他の服装・装備を何重にもチェックして、凍傷を予防するのです。一歩間違うと、指の一本くらい無くなってしまうのが、凍傷の恐ろしさです。
睡眠不足も大敵なのですが、訓練中の睡眠不足は、仕事上やむを得ません。部下隊員の顔色や表情、行動を見て、危険を回避するわけです。なまなかな状況ではないですね。小隊を率いて無事駐屯地に帰り、人員装備の異常の有無を確認し、上司に報告するまでが、指揮官の責務なのです。いやー疲れましたね。でも、その晩のビールは史上最強のおいしさなのです。
えっ?真冬なのにビール?そうビールです。北海道の屋内は、ストーブをガンガン炊いているので、夏のような暑さなのです。真冬のビールもなかなか乙なものでした♪
春に始まった年度の訓練は秋も深まるこの時期に集大成を迎える。長期間の野営や転地訓練、共同訓練や実動訓練などが冬を迎えるこの時期に行われることが多い。
特に東北以北の演習場で陸自部隊が迎える寒い朝は長く厳しい冬の到来を感じさせる。悪天候の続く冬の日本海で警戒監視任務に就く海自の艦上勤務も同様に厳しい寒さに晒される。初雪の舞う山頂の空自レーダサイトの深夜のシフト勤務も寒さの中で朝を迎える。
多くの国民は、そのことを知らない。知ってほしいと思う半面、知られないことも自衛隊の行動の基本であると言える。
この時期、市谷台の防衛省に連日のように泊まり込み、国会対応や予算折衝のための説明資料を作成する担当者も厳しい冬を迎えている。寒さのせいではない。予算編成を担う彼ら彼女らの脳裏には寒さの中、己の任務に向き合うかつての同僚や部下たちがいるからだ。
以下略。
朝雲新聞のコラム朝雲寸言から引用しました。
この文章を読んでグッとくる人達はそれほど多くはないでしょう。酒楽はグッときました。
11月は寒いのです。1月になると、冬の訓練になります。でも11月は、夏季訓練の最終版なのです。時に雪もちらつきますが、夏仕様で訓練に臨みます。これが寒いのなんのって、いい加減嫌になります。
1月から3月くらいまでが冬季訓練になります。冬装備で、スキーや雪上車、防寒着を着て訓練に臨むわけです。最初から厳寒の中での訓練を想定していて、心も体もその気なんです。だから寒いのは当たり前。
あれ、12月は?よく気が付きましたね。誰でも気が付くか。12月は、夏には寒すぎ、雪が少なすぎて冬でもない中途半端な時期なので、大体、装備品の整備や、冬季訓練の準備などに充てられるのです。
でも11月は、まだ冬の覚悟ができていないのですね。だから寒いんです。いっそ、真冬になれば、肝が据わって、何とかなるものなのです。朝雲寸言はよくわかっていますね♪
そして、この時期、年末の大蔵原案(古いですね。年がばれてしまいますww)、政府原案に向けて、予算折衝は最高潮に達しているのです。たった一台の装甲車、古い暗視装置の更新、寒冷地勤務手当の増額、その他諸々。
寸言に書いてあるように、かつての勤務地における経験や、同僚部下の気持ちを考えると、1円たりとも無駄にはできません。1円でも多く予算を確保し、我が国の安全保障環境の向上に寄与しようと努力するわけです。
1週間、2週間泊まり込むのは当たり前です。それどころか、一年中市谷に泊まり込んでいる猛者もいます。酒楽は、泊まるのが嫌いだったので、毎日帰っていましたが、睡眠時間は4~5時間でした。土日は、家族サービスもしますが、半分は寝ていました。
それでも頑張らざるを得ないのは、寒風吹きすさぶなか、歩哨に立っているかつての部下の顔が浮かぶからです。酒楽もかつて小隊を率いて冬季連隊支隊の一翼を担いました。
マイナス30度。隊員の寝ている天幕にはストーブがありましたが、小隊本部にはありませんでした。あるのは、携行を許されていない私物の反射式ストーブだけ。これは寒かったですね。でも、小隊長は、そんなことは言っていられないのです。
こういう経験が、予算折衝での根性につながっているのですね♪
政府は11月26日の臨時閣議で、令和3年度補正予算を決定しました。このうち防衛省は補正予算案としては過去最大の7738億円を計上。令和3年度補正予算と4年度当初予算を「防衛力強化加速パッケージ」と位置づけ、4年度当初予算の概算要求に計上していたミサイル防衛能力や南西地域の島嶼部の防衛体制の強化などの事業を3年度に前倒しする。
と12月2日付朝雲新聞に掲載されていました。どうやら岸田総理も少しは防衛力整備に本気のようですね。歓迎したいと思います。何度も申し上げますが、防衛力とは、国が国民に提供する最大のサービスなのです。
分配するなら、お金ではなく、安心安全な国づくりとそれを裏付ける防衛力であるべきだと酒楽は思います。
ご清聴ありがとうございました。
厳寒の北海道で気を付けなければならないのは、凍傷です。出動する前には、細かくチェックします。下着から、靴下、手袋、その他の服装・装備を何重にもチェックして、凍傷を予防するのです。一歩間違うと、指の一本くらい無くなってしまうのが、凍傷の恐ろしさです。
睡眠不足も大敵なのですが、訓練中の睡眠不足は、仕事上やむを得ません。部下隊員の顔色や表情、行動を見て、危険を回避するわけです。なまなかな状況ではないですね。小隊を率いて無事駐屯地に帰り、人員装備の異常の有無を確認し、上司に報告するまでが、指揮官の責務なのです。いやー疲れましたね。でも、その晩のビールは史上最強のおいしさなのです。
えっ?真冬なのにビール?そうビールです。北海道の屋内は、ストーブをガンガン炊いているので、夏のような暑さなのです。真冬のビールもなかなか乙なものでした♪
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