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菅総理の政治センス

 9月19日付、産経新聞第1面に【「菅外交」外務省復権へ】という記事があったのだが、記事の末尾付近に気になる文言があったので、紹介する。

 当の首相も、安倍政権では中国との経済関係を重視する立場をとってきた。12日の討論会では、石破元幹事長が北大西洋条約機構(NATO)に範をとって提唱する多国間同盟「アジア版NATO」に反対する理由として「どうしても反中包囲網にならざるを得ない」と語っている。

 この文章で気になるのは2点ある。

 第一点。中国との経済関係を重視する立場をとってきた。とする点。確かに安倍政権は、反中一点張りではなかった。経済面での国益を確保しつつ、安全保障面では、反中的外交姿勢だった。これだけを見れば、大きな問題はないように思えるが、第二点「どうしても反中包囲網にならざるを得ない。」と関連付けて考えると、極めて問題のある発言だ。世界を俯瞰する外交、自由で開かれたインド太平洋構想が、安倍外交を象徴する言葉だ。そして、この意味することは、独裁政権で、力による現状変更を試みる中国を封じ込めることが目的になっている。はっきり言えば、中国封じ込め、反中包囲網の形成を図っていることなのだ。米国国務省が提唱しているクアッドがその典型だ。

 しかし、菅総理の自民党総裁選時の討論会の発言は、全く逆だ。「どうしても反中包囲網にならざるを得ない」という発言を解釈すれば、反中包囲網に、日本は与するべきではない、ととらえることが自然だ。

 これが日米同盟の当事者たる日本国総理大臣の発言なのだ。もし、トランプ大統領との会談で、このような発言が菅首相から発せられれば、日米同盟が、根幹から崩れてもおかしくないような発言だろう。トランプは耳を疑うに違いない。

 端的に言えば、日米同盟そのものの疑問視にもつながる問題発言だ。同盟国米国は、日本を疑うだろう。共に戦える同盟相手ではないと考えてもおかしくはない。当時の発言は、総理就任前だったので、大きな問題にはなっていないが、産経新聞でさえ、この部分に関してコメントしていないのは不思議だ。総理は、米国とともに、中国と戦う覚悟はないものと見た。日本国総理大臣としては失格だろう。

 もう一つ、総理のセンスを疑う事項がある。それは、解散する兆候が全く見えないことだ。このままでは、麻生元総理の二の舞になるだろう。新たな政権が誕生した時、国民の支持率は高い。そして、時間の経過とともに、支持率は下降していく。過去の政権の歴史を振り返れば、その傾向が強い(一部の例外を除き)。麻生元総理と菅現総理の立ち位置はほとんど同じだ。総理に登板した時に、衆議院の任期は残すところ1年だったのだ。麻生元総理の失敗は、時期だけではなかったにしても、組閣して間を置かずに解散総選挙を行っていれば、議席を減らしたとしても、民主党に政権の座を明け渡すことは無かったであろう。

 菅総理は、同じ轍を踏む可能性がある。もっとも政界の一寸先は闇なので、電撃的に解散する可能性はなくはないだろうが。今のところその兆候はないようだ。少なくとも年内に解散総選挙を実施しなければ、菅政権が短命に終わる可能性は高いだろう。

 政治センスの問題なのだ。政治は結果だ。すぐに解散総選挙に打って出れば、野党やマスコミから、大声で非難されることは目に見えている。しかし、結果は別だ。1か月以内に解散すれば、少なくとも議席を減らすことは無いだろう。その場合、菅総理にも長期政権の芽が出てくる。だが、今までの総理の発言を聞く限り、そのような未来は見えない。小生の予想が裏切られることを望むのである。

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