河野行革担当大臣が、印鑑廃止を打ち出している。行政の無駄を省くというのが趣旨らしい。例として、テレワーク中なのに、押印が必要なため、登庁せざるを得ないことが示されている。大臣は、押印だけではなく、電子決裁も進めたい意向のようだ。
いろいろと意見がある。まず、例として示されたテレワーク中に押印のため、登庁せざるを得ない、と言うことに関して。
さて、当該官僚は、「押印」のために登庁するのだろうか?官公庁の文書業務において、押印するためだけの業務と言うのは、既に決裁の済んだ文書を正式な文書として残すために、「公印」を押すことを言うのではないのか?それだけのために登庁させるのか?というのが事実なのか?
そうではない、文書の稟議(あるいは決裁)が必要だから登庁するのか?どちらなのだ?稟議が必要ならば、当然登庁するだろう。そもそもその日に稟議・決裁が必要なのが分かっていながら、テレワークをしている方も、それを許可した上司も頭がおかしいのではないか?稟議・決裁には、責任ある部署の責任ある担当官が押印するのだ。それは、押印でなくとも、サインでもいいし、花押でもいい。押印と言う行為を指しているのではなく、稟議すべき担当官が、文書を読んで、必要な判断を行い、必要なら起案者に文書の修正を指示し、その上で、稟議することを言うのではないのか?
繰り返すが、稟議を押印と言うのは間違っている。あくまでも稟議だ。事実、公文書の稟議・決裁欄の当該箇所にサインする者もいれば、押印する者もいれば、花押を書く者もいる。これらを総称して押印と言うのか?そうではあるまい。
定義が曖昧である。テレワークで登庁したお役人さんが、単に「押印」という行為をするだけならば、河野大臣の言うとおり、印鑑廃止でよかろう。
だが、稟議するために登庁したならば、ことは、「押印」ではない。稟議・決裁だ。一体、どちらなのだ。もし、稟議なら、前述したように、自らの責任の所在も知らない、無能な官僚だということになる。何が無駄と言って、ハンコではなく、こういった官僚こそ無駄だ。
次に、電子決裁だが、言うのは簡単だが、一体何をもって電子決裁と言っているのだろう。ネットワーク上で、起案文書を稟議に回し、ネットワーク上で稟議・決裁することを想定しているのだろうか?もし、そうだとすると、机上の空論に終わる可能性を否定できない。
文書を起案し、稟議を受け、決裁権者の決裁を受け、発簡行為に至るまでが、起案者の仕事だ。稟議を受ける場合も、決裁を受ける場合も、それぞれの担当官等の部署に赴き、起案の趣旨、起案内容の説明、当該部署の関連性等を説明し、了解を得られれば、稟議を得られる。そして、最終的には、決裁権者の前で、同じことをやり、決裁を受ける。こういうことであろう。
起案者は、通常、起案文書以外に説明資料を準備し、当該担当部署で説明する。何故かと言うと、起案者以外の部署は、起案者の部署業務に関係はあるが専門ではないので、理解を容易にするため、説明文書を用意して説明するのだ。稟議を受ける場合も決裁を受ける場合も同様だ。
それは、起案者の説明と、稟議・決裁権者との間に、説明~質問~回答という行為があってはじめて成り立つ行為なのだ。場合によっては、稟議・決裁権者の理解を得られず、あるいは同意を得られず、差し戻しになる場合もあろう。いずれにしても、起案者と稟議・決裁する者との間に口頭でのディスカッションがあるということなのだ。これが、官公庁における業務だ。
さて、電子決裁だ。今言った、ディスカッションは、この電子決裁には含まれまい。すべてをネットワーク上で、稟議・決裁しようとするものでないと、言っている意味が理解できない。そして、小生の理解が正しいならば、最初に言ったように、机上の空論に終わるか、もしくは、現行業務に屋上屋を重ねることになるかもしれない。
担当官レベルならいざ知らず、課長~部長~局長等組織の階梯を上るに従い、所掌する範囲は広くなる。起案者が説明しないとわからないことが多々あるのだ。課長、部長、局長になると、質問の焦点も範囲もそれぞれだ。起案者はそういった方の質問を想定し、説明文書を準備し、関係書類を携行して、稟議・決裁に臨むのである。
もし、これをネットワーク上で全て稟議・決裁しようとしたら、業務は著しく滞るに違いない。課長も部長も局長も怒るだろう。こんな電子データだけで説明されてもわからない。私の疑問、質問に答えるため、速やかに参上の上、説明せよ!こうなるだろう。
そして、そういうのが無駄だと言って禁止したらどうなるか、差し戻しが頻発し、仕事はストップする。
ひとこと、ハンコを禁止と言っても、こういった行政上の手続きを禁止するわけではあるまい。河野大臣は、こういったことについて、もしくは、行革担当大臣のしかるべき部下が、丁寧に説明するべきだろう。国民は、ただ単に、ハンコを無くすだけだろう?何が問題なんだ?と思っているに違いない。説明不足も甚だしい。
表題に戻ろう。印鑑廃止の本質は何なのだ。行政の無駄をなくすというならば、もっと本質を掴んで、組織の在り方、業務遂行要領迄踏み込んで実施すべきであろう。兵は拙速を貴ぶとはいっても、門外漢には何も理解できないのだ。丁寧に説明して、国民を味方につけるべきだ。大臣閣下。
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いろいろと意見がある。まず、例として示されたテレワーク中に押印のため、登庁せざるを得ない、と言うことに関して。
さて、当該官僚は、「押印」のために登庁するのだろうか?官公庁の文書業務において、押印するためだけの業務と言うのは、既に決裁の済んだ文書を正式な文書として残すために、「公印」を押すことを言うのではないのか?それだけのために登庁させるのか?というのが事実なのか?
そうではない、文書の稟議(あるいは決裁)が必要だから登庁するのか?どちらなのだ?稟議が必要ならば、当然登庁するだろう。そもそもその日に稟議・決裁が必要なのが分かっていながら、テレワークをしている方も、それを許可した上司も頭がおかしいのではないか?稟議・決裁には、責任ある部署の責任ある担当官が押印するのだ。それは、押印でなくとも、サインでもいいし、花押でもいい。押印と言う行為を指しているのではなく、稟議すべき担当官が、文書を読んで、必要な判断を行い、必要なら起案者に文書の修正を指示し、その上で、稟議することを言うのではないのか?
繰り返すが、稟議を押印と言うのは間違っている。あくまでも稟議だ。事実、公文書の稟議・決裁欄の当該箇所にサインする者もいれば、押印する者もいれば、花押を書く者もいる。これらを総称して押印と言うのか?そうではあるまい。
定義が曖昧である。テレワークで登庁したお役人さんが、単に「押印」という行為をするだけならば、河野大臣の言うとおり、印鑑廃止でよかろう。
だが、稟議するために登庁したならば、ことは、「押印」ではない。稟議・決裁だ。一体、どちらなのだ。もし、稟議なら、前述したように、自らの責任の所在も知らない、無能な官僚だということになる。何が無駄と言って、ハンコではなく、こういった官僚こそ無駄だ。
次に、電子決裁だが、言うのは簡単だが、一体何をもって電子決裁と言っているのだろう。ネットワーク上で、起案文書を稟議に回し、ネットワーク上で稟議・決裁することを想定しているのだろうか?もし、そうだとすると、机上の空論に終わる可能性を否定できない。
文書を起案し、稟議を受け、決裁権者の決裁を受け、発簡行為に至るまでが、起案者の仕事だ。稟議を受ける場合も、決裁を受ける場合も、それぞれの担当官等の部署に赴き、起案の趣旨、起案内容の説明、当該部署の関連性等を説明し、了解を得られれば、稟議を得られる。そして、最終的には、決裁権者の前で、同じことをやり、決裁を受ける。こういうことであろう。
起案者は、通常、起案文書以外に説明資料を準備し、当該担当部署で説明する。何故かと言うと、起案者以外の部署は、起案者の部署業務に関係はあるが専門ではないので、理解を容易にするため、説明文書を用意して説明するのだ。稟議を受ける場合も決裁を受ける場合も同様だ。
それは、起案者の説明と、稟議・決裁権者との間に、説明~質問~回答という行為があってはじめて成り立つ行為なのだ。場合によっては、稟議・決裁権者の理解を得られず、あるいは同意を得られず、差し戻しになる場合もあろう。いずれにしても、起案者と稟議・決裁する者との間に口頭でのディスカッションがあるということなのだ。これが、官公庁における業務だ。
さて、電子決裁だ。今言った、ディスカッションは、この電子決裁には含まれまい。すべてをネットワーク上で、稟議・決裁しようとするものでないと、言っている意味が理解できない。そして、小生の理解が正しいならば、最初に言ったように、机上の空論に終わるか、もしくは、現行業務に屋上屋を重ねることになるかもしれない。
担当官レベルならいざ知らず、課長~部長~局長等組織の階梯を上るに従い、所掌する範囲は広くなる。起案者が説明しないとわからないことが多々あるのだ。課長、部長、局長になると、質問の焦点も範囲もそれぞれだ。起案者はそういった方の質問を想定し、説明文書を準備し、関係書類を携行して、稟議・決裁に臨むのである。
もし、これをネットワーク上で全て稟議・決裁しようとしたら、業務は著しく滞るに違いない。課長も部長も局長も怒るだろう。こんな電子データだけで説明されてもわからない。私の疑問、質問に答えるため、速やかに参上の上、説明せよ!こうなるだろう。
そして、そういうのが無駄だと言って禁止したらどうなるか、差し戻しが頻発し、仕事はストップする。
ひとこと、ハンコを禁止と言っても、こういった行政上の手続きを禁止するわけではあるまい。河野大臣は、こういったことについて、もしくは、行革担当大臣のしかるべき部下が、丁寧に説明するべきだろう。国民は、ただ単に、ハンコを無くすだけだろう?何が問題なんだ?と思っているに違いない。説明不足も甚だしい。
表題に戻ろう。印鑑廃止の本質は何なのだ。行政の無駄をなくすというならば、もっと本質を掴んで、組織の在り方、業務遂行要領迄踏み込んで実施すべきであろう。兵は拙速を貴ぶとはいっても、門外漢には何も理解できないのだ。丁寧に説明して、国民を味方につけるべきだ。大臣閣下。
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