衝撃の「ロシア敗北論」全文和訳…元駐ウクライナ中国大使は何を語ったのか 2022.05.17 現代ビジネス
現代ビジネス、近藤大介氏の署名記事です。高玉生(こう・ぎょくせい)元駐ウクライナ中国大使(74歳)の講演内容が全文紹介されています。
この記事は、ネットで配信され、速攻当局によって消されました。それだけ中国共産党政権にとっては、知られたくない内容だったということでしょう。消されれば読みたくなるのが人情と言うのもです♪
1.ロシアが失敗に向かった主要な原因。
第一に、(1991年12月の)ソ連解体後、ロシアは終始、衰退していく過程が続いていた。その衰退は、まず解体前のソ連の衰退の持続であり、ロシアの統治グループの内外政策上の失策とも関係している。西側の制裁もまた、衰退の進展を加速化させた。
プーチンの指導下で行われたいわゆるロシアの復興、もしくは振興は、もともと存在していない架空の出来事だったのだ。ロシアの衰退の芽は、経済・軍事・科学技術・政治・社会など各分野において、またロシア軍及びその戦力にも、深刻なマイナスの影響を与えたのである。
この講演の核心はこれですね。高氏の主張通りならば、ロシアの衰退は、必然だったということです。冷戦に敗北した理由は、端的に言えば経済です。アメリカ・西側諸国に対抗するための軍備増強を支える経済力がなかったのが敗北の原因です。
西側の制裁とは、対共産圏輸出統制委員会(COCOM)のことを言っているのでしょう。
ソ連が崩壊した原因は、主として共産主義経済を象徴する計画経済によるものです。戦時経済ならばそれでいいのでしょう。事実、第2次大戦後まで、ソ連の5か年軽計画は、共産圏と西側共産主義者の絶賛を浴びました。水爆の開発も宇宙ロケットの開発もソ連がアメリカに先んじたのですから。
しかし、計画経済に自由はありません。軍備に偏重したソ連国民は、経済的には塗炭の苦しみを味わったのです。ソ連と言えば「行列」でした。消費物資が乏しいソ連国民は、たまに販売される目玉商品に行列を成していたのです。これは計画経済の弊害であり、共産主義の根本的な誤りです。
後継国家であるロシアが引き続き衰退したのは、この共産主義経済モデルから、自由経済モデルへの転換に失敗したからです。ロシアの体制下で、経済的イノベーションの萌芽もありませんでした。資源経済に傾斜し、国内企業は、ほとんど西側企業体の僕になったのです。これがロシア衰退の根本的原因だったのだと思います。
中国は旨くすり抜けたのです。鄧小平の「改革開放」政策に、西側は見事に騙されました。日本を含め。今や14億の民が世界経済を左右するまでになったのです。
中国は、共産主義市場経済と言う摩訶不思議な体制を生み出しました。経済的には、制約はあるものの、西側自由主義経済とほぼ同じです。ただし、資本の自由化は行っていないので、海外企業は中国市場での利益を自国に還元することには制約があります。これもまた、中国経済の発展に寄与しました。
利益を還元できなければ、中国市場で再投資する以外に道はありません。中国の安価な労働力に頼る体制が出来上がってしまい、西側企業は、最早中国市場からの撤退も、新たな労働市場を開拓する努力も放棄しているのが現状でしょう。これがロシアと中国の違いです。
では中国に弱点はないのでしょうか。そんなことはないですね。たとえば、人民元は、ドルと連動しています。中国が稼いだ外貨、ドルを基軸に人民元を運用しているのです。アメリカがドルとの連動を拒否すれば、中国は死ぬでしょう。それが中国の弱点です。人民元は、ハードカレンシーの一つに認定されていますが、実態はそうではありません。人民元の信用は、豊富な外貨、ドルに依存しているのです。
更に、資本が自由化されていない不自由に我慢できなくなった企業は、いきおい中国市場から撤退するでしょう。また、民主主義国家ではない中国は、いつなんどき当局の姿勢が変化するかわからないリスクがあるのです。本邦企業の社員が、不当に逮捕される事例が後を絶ちません。そういう国に進出し、社員の命を軽視する企業は、いずれ厳しい世論に晒され、批判を受けることになるでしょう。中国リスクとは、責任を取れないほど危険なのです。
社員の命が不当に奪われるかもしれないのが、中国リスクの本質です。
結論です。ロシアと違い、中国は強かです。ただし、習近平が3期目の政権を担うことになれが事情は変わります。中国の国家主席は胡錦濤まで2期10年でした。そこには、主席退任後の身の安全を確保するための「自制」がなければなりません。それが、政権の緊張を保ち、内外政策の自重を促してきたのです。
しかし、習近平は、権力基盤強化を急ぐあまり、政敵を次々に蹴落としました。落馬した共産党有力者は枚挙に暇がありません。当然、政敵は多くなります。これでは、10年後の身の安全は担保されません。報復されるのは目に見えています。
3期目を目指すのは、やむを得ない処置なのです。しかし、3期目就任は、永久主席、つまり独裁政権への道に外なりません。独裁政権は腐敗します。自由な経済も生き残ることは難しくなるでしょう。自由経済こそ、中国の金の卵なのに、独裁体制は、金の卵の存在とは矛盾するのです。習の3期目就任は、いずれ経済の低迷と言う反逆に会うと酒楽は思います。それが歴史の教えだからです。
ご清聴ありがとうございました。ぽちっとしていただけると励みになります。フォローバナーもよろしくお願いします。
現代ビジネス、近藤大介氏の署名記事です。高玉生(こう・ぎょくせい)元駐ウクライナ中国大使(74歳)の講演内容が全文紹介されています。
この記事は、ネットで配信され、速攻当局によって消されました。それだけ中国共産党政権にとっては、知られたくない内容だったということでしょう。消されれば読みたくなるのが人情と言うのもです♪
1.ロシアが失敗に向かった主要な原因。
第一に、(1991年12月の)ソ連解体後、ロシアは終始、衰退していく過程が続いていた。その衰退は、まず解体前のソ連の衰退の持続であり、ロシアの統治グループの内外政策上の失策とも関係している。西側の制裁もまた、衰退の進展を加速化させた。
プーチンの指導下で行われたいわゆるロシアの復興、もしくは振興は、もともと存在していない架空の出来事だったのだ。ロシアの衰退の芽は、経済・軍事・科学技術・政治・社会など各分野において、またロシア軍及びその戦力にも、深刻なマイナスの影響を与えたのである。
この講演の核心はこれですね。高氏の主張通りならば、ロシアの衰退は、必然だったということです。冷戦に敗北した理由は、端的に言えば経済です。アメリカ・西側諸国に対抗するための軍備増強を支える経済力がなかったのが敗北の原因です。
西側の制裁とは、対共産圏輸出統制委員会(COCOM)のことを言っているのでしょう。
ソ連が崩壊した原因は、主として共産主義経済を象徴する計画経済によるものです。戦時経済ならばそれでいいのでしょう。事実、第2次大戦後まで、ソ連の5か年軽計画は、共産圏と西側共産主義者の絶賛を浴びました。水爆の開発も宇宙ロケットの開発もソ連がアメリカに先んじたのですから。
しかし、計画経済に自由はありません。軍備に偏重したソ連国民は、経済的には塗炭の苦しみを味わったのです。ソ連と言えば「行列」でした。消費物資が乏しいソ連国民は、たまに販売される目玉商品に行列を成していたのです。これは計画経済の弊害であり、共産主義の根本的な誤りです。
後継国家であるロシアが引き続き衰退したのは、この共産主義経済モデルから、自由経済モデルへの転換に失敗したからです。ロシアの体制下で、経済的イノベーションの萌芽もありませんでした。資源経済に傾斜し、国内企業は、ほとんど西側企業体の僕になったのです。これがロシア衰退の根本的原因だったのだと思います。
中国は旨くすり抜けたのです。鄧小平の「改革開放」政策に、西側は見事に騙されました。日本を含め。今や14億の民が世界経済を左右するまでになったのです。
中国は、共産主義市場経済と言う摩訶不思議な体制を生み出しました。経済的には、制約はあるものの、西側自由主義経済とほぼ同じです。ただし、資本の自由化は行っていないので、海外企業は中国市場での利益を自国に還元することには制約があります。これもまた、中国経済の発展に寄与しました。
利益を還元できなければ、中国市場で再投資する以外に道はありません。中国の安価な労働力に頼る体制が出来上がってしまい、西側企業は、最早中国市場からの撤退も、新たな労働市場を開拓する努力も放棄しているのが現状でしょう。これがロシアと中国の違いです。
では中国に弱点はないのでしょうか。そんなことはないですね。たとえば、人民元は、ドルと連動しています。中国が稼いだ外貨、ドルを基軸に人民元を運用しているのです。アメリカがドルとの連動を拒否すれば、中国は死ぬでしょう。それが中国の弱点です。人民元は、ハードカレンシーの一つに認定されていますが、実態はそうではありません。人民元の信用は、豊富な外貨、ドルに依存しているのです。
更に、資本が自由化されていない不自由に我慢できなくなった企業は、いきおい中国市場から撤退するでしょう。また、民主主義国家ではない中国は、いつなんどき当局の姿勢が変化するかわからないリスクがあるのです。本邦企業の社員が、不当に逮捕される事例が後を絶ちません。そういう国に進出し、社員の命を軽視する企業は、いずれ厳しい世論に晒され、批判を受けることになるでしょう。中国リスクとは、責任を取れないほど危険なのです。
社員の命が不当に奪われるかもしれないのが、中国リスクの本質です。
結論です。ロシアと違い、中国は強かです。ただし、習近平が3期目の政権を担うことになれが事情は変わります。中国の国家主席は胡錦濤まで2期10年でした。そこには、主席退任後の身の安全を確保するための「自制」がなければなりません。それが、政権の緊張を保ち、内外政策の自重を促してきたのです。
しかし、習近平は、権力基盤強化を急ぐあまり、政敵を次々に蹴落としました。落馬した共産党有力者は枚挙に暇がありません。当然、政敵は多くなります。これでは、10年後の身の安全は担保されません。報復されるのは目に見えています。
3期目を目指すのは、やむを得ない処置なのです。しかし、3期目就任は、永久主席、つまり独裁政権への道に外なりません。独裁政権は腐敗します。自由な経済も生き残ることは難しくなるでしょう。自由経済こそ、中国の金の卵なのに、独裁体制は、金の卵の存在とは矛盾するのです。習の3期目就任は、いずれ経済の低迷と言う反逆に会うと酒楽は思います。それが歴史の教えだからです。
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